2025年10月1日、古物営業法施行規則が改正されました。本改正では、金属盗難被害の増加を受け、特定の金属製品の買取りについてより厳格なルールが設けられました。
そこで本記事では、古物営業法施行規則の改正内容の概要説明に加え、古物査定士認定協会からのお知らせをお伝えします。
古物営業法施行規則の改正について
今回の改正は、古物営業を取り巻く近年の社会状況を踏まえ、買取りに関する運用ルールの一部を見直すものです。
まず古物営業法と古物営業法施行規則の関係を整理したうえで、今回の改正の背景と主な変更点についてご紹介します。
古物営業法と古物営業法施行規則の関係
古物営業法は、盗難品などが不正に流通することを防ぐために、古物営業をおこなう際の基本的なルールを定めた法律です。人が不用品を売却する場面において、悪意のある第三者が盗品を容易に売却できないようにしています。
一方、古物営業法施行規則は、古物営業法に基づく制度を実務上どのように運用するかを定めたものです。申請手続きや確認方法、帳簿への記載事項など、法律だけでは定めきれない具体的な内容について、国家公安委員会が規定しています。
今回改正されたのは、この古物営業法施行規則であり、古物営業法そのものが変更されたわけではありません。ただし、施行規則は日々の取引実務に直結するため、事業者は改正内容を正しく把握する必要があります。
古物営業法施行規則改正の背景
古物営業法および古物営業法施行規則では、古物商が物品を買い受ける際、相手方の確認や帳簿等への記載といった義務が課されています。これらは、盗品などが容易に売却されることを防ぐための措置です。
ただし、バイクやゲームソフトなど一部の物品を除き、物品の総額が1万円未満の場合には、相手方の確認義務や帳簿等への記載義務が原則として免除されています。
一方で、近年では太陽光発電設備からの銅線ケーブルの窃盗や、エアコン室外機の盗難が増加し、社会的に大きな課題となっていることが問題視されてきました。
【2025年10月1日施行】古物営業法施行規則の変更点
こうした状況を受け、今回の改正では、エアコンディショナーの室外ユニット及び電気温水機器のヒートポンプ、電線、グレーチング(金属製のものに限る)について、総額1万円未満の買受であっても、相手方の確認義務等の対象となるよう追加されました。
少しややこしく感じますが、いい換えると「電線等を古物として取引するときは、金額に関わらず、必ず確認等を実施する義務が生まれた」ということです。
改正後の古物営業法施行規則第16条は以下の通りです。今挙げた品目が追加されていることが分かります。
(確認等の義務を免除する古物等)
第十六条 法第十五条第二項第一号の国家公安委員会規則で定める金額は、一万円とする。
2 法第十五条第二項第一号の国家公安委員会規則で定める古物は、次の各号に該当する古物とする。
一 自動二輪車及び原動機付自転車(これらの部分品(ねじ、ボルト、ナット、コードその他の汎用性の部分品を除く。)を含む。)
二 エアコンディショナーの室外ユニット及び電気温水機器のヒートポンプ
三 専ら家庭用コンピュータゲームに用いられるプログラムを記録した物
四 光学的方法により音又は影像を記録した物
五 電線
六 グレーチング(金属製のものに限る。)
七 書籍(古物営業法施行規則第16条)
なお、エアコンディショナーの室外ユニットとは、いわゆる室外機のことです。電気温水機器のヒートポンプは、室外機と形状が似ており、設置箇所も似た環境が多いことから、ひとまとめで確認義務等の対象に追加されています。
電線については、警視庁によると「素材については問われていませんが、LANケーブルやテレビ接続ケーブル、いわゆる家庭用の延長コードや充電ケーブルなどは対象外」と説明があります。グレーチングについても、同じく警視庁によると「主として側溝のフタなどに用いられる格子状のものを指します。金属製のものに限られているので、コンクリート製のものは対象外となります。」とのことです。
ひとくちに電線やグレーチングといっても、素材や主たる用途などでさらに判断が細分化されることが分かります。古物商の実務にあたり、改正内容をよく確認して、運用ルールに落とし込んでいく必要があるでしょう。
相手方への確認と帳簿等への記載
相手方への確認内容や帳簿等への記載ルールそのものについては、2025年10月1日の改正による変更はありません。ただし、これまで確認義務等が免除されていた1万円未満の電線等の取引についても、新たに確認が必要となったため、あらためて内容を確認しておきましょう。
古物商が相手方に対して確認すべき事項は、相手方の住所、氏名、職業及び年齢です。これらを確認する方法としては、運転免許証や個人番号カード(マイナンバーカード)など、公的な身分証明書の提示を受けることが基本とされています。
また、非対面取引の場合には、「なりすまし」等を防止する観点から、古物営業法第15条第1項第3号および古物営業法施行規則第15条第3項第1号から第9号、第11号から第13号により、より厳格な確認方法が定められています。詳細については、警視庁の案内ページをご確認ください。
次に、帳簿等への記載については、古物営業法第16条により、以下のように定められています。
(帳簿等への記載等)
第十六条 古物商は、売買若しくは交換のため、又は売買若しくは交換の委託により、古物を受け取り、又は引き渡したときは、その都度、次に掲げる事項を、帳簿若しくは国家公安委員会規則で定めるこれに準ずる書類(以下「帳簿等」という。)に記載をし、又は電磁的方法により記録をしておかなければならない。ただし、前条第二項各号に掲げる場合及び当該記載又は記録の必要のないものとして国家公安委員会規則で定める古物を引き渡した場合は、この限りでない。
一 取引の年月日
二 古物の品目及び数量
三 古物の特徴
四 相手方(国家公安委員会規則で定める古物を引き渡した相手方を除く。)の住所、氏名、職業及び年齢
五 前条第一項の規定によりとつた措置の区分(同項第一号及び第四号に掲げる措置にあつては、その区分及び方法)(古物営業法第16条)
こちらの帳簿等を、記録をした日から3年間保管する義務があります(古物営業法第18条)。今回追加された品目に関しても、これらの事項を記帳する帳簿等を準備するようにしましょう。
古物査定士認定協会からのお知らせ
古物査定士認定協会から、皆さまに向けたお知らせを2点ご案内します。
古物査定士認定協会の入会に関する必要書類の簡略化について
当協会(古物査定士認定協会)では、入会手続きの利便性向上を目的として、2026年5月より入会に関する必要書類を簡略化します。
現在は、入会にあたり以下の5点をご提出いただいています。
- 入会申込書
- 経歴書
- 古物商許可証のコピー
- 身分証明書(運転免許証など)のコピー
- 証明写真2枚(縦4cm×横3cm)
2026年2月からは、提出書類を以下の3点に変更します。
- 入会申込書
- 古物商許可証のコピー
- 証明写真2枚(縦4cm×横3cm)
これにより、入会手続きにかかるご負担を軽減し、より円滑にお申し込みいただけるようになります。
入会をご希望の方は、こちらのページをご確認ください。
今後のお知らせについて
これまで当協会のニュース記事は定期的に配信していましたが、今後は法改正や制度変更など、特に重要なお知らせがあった場合に随時掲載する運用へと変更します。
まとめ
本記事では、2025年10月1日に実施された古物営業法施行規則の改正について、総額1万円未満の取引であっても相手方の確認義務等の対象となる古物に電線などが追加された点を中心に解説しました。
あわせて、古物査定士認定協会からのお知らせとして、入会に関する必要書類の簡略化および今後のニュース掲載方針についてご案内しました。

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