【意匠法改正】模造品の規制・取り締まりが2022年10月から強化されました

2022年10月から、模造品の水際取り締まりが強化されました。これにより、海外から模造品を国内に持ち込むことが商標権や意匠権といった権利侵害にあたることが明確化されました。

これまでの模造品の状況

絶大な人気を誇るブランド「LOUIS VUITTON(ルイ・ヴィトン)」をはじめとして、模造品が作られていました。海外での模造品に精巧なものが非常に多く、ほとんど見分けがつかないものも。買取業者は真贋鑑定に力を入れ、ブランドの真贋を見極めるAIを導入したり、新たに発生したと思われる模造品と本物の違いを共有したりして、今日まで来ました。

消費者の中には、偽物とは知らずにお土産などでもらっているケースや、悪質な人が模造品を仕入れてフリマアプリで本物を装い販売する業社・個人から購入してしまっているケースなどがありました。海外通販サイトでも偽物が多く安価で販売されており、日本にいながら簡単に模造品の仕入れができる状態でした。

買取業者に持ち込まれるブランドの多くも偽物として知らずに持ち込まれたものであり、買取不可とする買取業者が相次ぐことで発覚。恥をかいてしまったと思う人もいたようです。中には、高価なブランド品にも関わらずお土産でもらったことに不信感を覚え、フリマアプリでよくわからないものとして、該当ブランドの価格にしては安価な価格設定で出品する人もいました。

10月からの規制内容

今回の規制は、消費者を保護するために設定されたものではなく、商標権や意匠権といった権利侵害にあたるとして行われるものです。これまでも可能性について示唆されてきましたが、明確化されました。

2021年3月5月時点で改正があり、「輸入してはならない貨物」として海外事業者から郵送などで日本国内に持ち込む模造品を規制されました。

第四条 1 第三条の規定(附則第一条第四号に掲げる改正規定に限る。)による改正後の意匠法第二条第二項、第三十八条、第四十四条の三及び第五十五条の規定は、同号に掲げる規定の施行の日(以下この 項及び次条第一項において「第四号施行日」という。)以後にした 行為について適用し、第四号施行日前にした行為については、なお 従前の例による。(改正法附則第4条第1項)

第五条 1 第四条の規定(附則第一条第四号に掲げる改正規定に限る。)による改正後の商標法第二条第三項及び第七項、第二十六条第三項、 第三十七条、第六十七条並びに第七十四条の規定は、第四号施行日 以後にした行為について適用し、第四号施行日前にした行為につい ては、なお従前の例による。(改正法附則第5条第1項)

そして、2022年10月から税関で取り締まりが行われ没収されます。

2 一 この法律において、輸入する行為には、外国にある者が外国から日本国内に他人をして持ち込ませる行為が含まれるものとする(意匠法第2条第2項第1号)

7 この法律において、輸入する行為には、外国にある者が外国から日本国内に他人をして持ち込ませる行為が含まれるものとする(商標法第2条7項)

同条文の「他人をして持ち込ませる行為」とは、配送業者等の第三者を利用して日本国内に持ち込むなどの行為を意味しています。

輸入に含まれるものとした行為が、民事上の差止めや損害賠償の請求の対象になります。また、輸入者に事業性がある場合に、これまで通りに罰則の対象となります。

経緯

海外の事業者が、国内の個人に対して、少量の模倣品を郵便等で直接販売し、送付する事例が急増していたことを特許庁が明らかにしています。

これまで、国内の個人が行った場合に商標権の侵害は成立しなかったこと、海外の販売事業者の行為について商標権の侵害が成立するか不明瞭だったこと、輸入者が「個人使用目的」を説明した場合に言い逃れできてしまう可能性があったことを説明。没収できないことから国内への流入の増加に歯止めをかけることができず、また、covid-19や配送料の低下がさらに輸入増につながる恐れから、改正に至ったようです。

第六十九条の十一 次に掲げる貨物は、輸入してはならない。
九 特許権、実用新案権、意匠権、商標権、著作権、著作隣接権、回路配置利用権又は育成者権を侵害する物品(意匠権又は商標権のみを侵害する物品にあつては、次号に掲げる貨物に該当するものを除く。)(関税法第69条の11第1項第9号)

2 税関長は、前項第一号から第六号まで又は第九号から第十号までに掲げる貨物で輸入されようとするものを没収して廃棄し、又は当該貨物を輸入しようとする者にその積戻しを命ずることができる。

なお、EU圏においても、過去の司法判断により、EU域外の事業者が EU 域内の者に宛てて送付した模倣品について、商標権が成立するものとして税関差し止め対象として取り締まりがされています。

また、米国でも関税法で定める場合を除き、米国商標上で規制に反して輸入される模造品を、商標権侵害を構成するものとし、差止め対象としています。

古物商として……

規制により、ブランド品の偽物の流通の減少効果が期待できますが、古物商として注意しなければならない部分があります。模造品について、商標権または意匠権を侵害するものとして明確化されたことにより、偽物の扱いについて一層注意しなければならなくなった点です。

リサイクルショップを訪れると、時折、模造品と思われるものが一般ファッション品として数百円で販売されていることがあります。販売する行為もまた、商標権または意匠権を侵害する可能性があるものとして、故意に行わないよう心がけるべきでしょう。

また、一般ファッション品だと思っていたものが、とあるブランドの模造品だったという可能性もあります。ブランド販売を行っていない古物商人も、意図せず流通に加担してしまわないように、一層、ブランド品や模造品の知識をつけておく必要が出てくるかもしれません。

第二条 この法律において「不正競争」とは、次に掲げるものをいう。

三 他人の商品の形態(当該商品の機能を確保するために不可欠な形態を除く。)を模倣した商品を譲渡し、貸し渡し、譲渡若しくは貸渡しのために展示し、輸出し、又は輸入する行為(不正競争防止法第2条第1項第3号)

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特許庁公式サイト「海外からの模倣品流入への規制強化について」

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古物査定士資格取得に関する問い合わせ窓口
(当面の間は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、資格試験をオンライン上で行うこととします)

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