【Q&A】フリマアプリをめぐる古物商の疑問・誤解

【Q&A】フリマアプリをめぐる古物商の疑問・誤解

最近になって、古物商の仕入れ・販売先としてフリマアプリが多く利用されるようになりました。この社会変化に従い、2018年には非対面方式の本人確認方法を定めるなど、法改正が行われています。まだまだ新しい取引方法というだけに、古物営業法違反を知らず行っている業者を多く見かけます。よくある疑問、誤解についてQandA方式で説明しましょう。

Q1:フリマアプリで本人確認をしているため本人確認をしなくて良い

A1:いいえ。

確かに、フリマアプリを登録する際、何らかの方法でサイト側が本人確認をしているケースは多いでしょう。ですが、いくらフリマアプリで確認していても古物営業法上では、本人確認として認められません。

例えば、フリマアプリなどは登録をした本人だけではなく家族ぐるみで利用しているケースも多いでしょう。夫が登録をしているアプリから、妻が自分の不要品を出品している……といった例は珍しくありません。また、フリマアプリの本人確認方法では、偽装も不可能ではありません。

古物営業法では、非対面取引における本人確認の方法が細かく定められています。現在、法令により大きく分けて15の確認方法が認められています。フリマアプリで本人確認をする際は、必ずその15の内のいずれかの方法で行わなければいけないのです。

また、法令では本人確認の義務は、サイトではなく古物商側に求められているものです。ですからサイトが本人確認済みの為、フリマアプリで仕入れをする場合、古物商は本人確認をしなくて良いというのは間違いとなります。

もし、この義務に違反をした場合、6月以下の懲役又は30万円以下の罰金・併科となるため注意しましょう。

Q2:フリマアプリでの買取について古物台帳へ記載する場合、ハンドルネームでも良い。

A2:いいえ。

古物台帳には、取引した相手の個人情報を記載しなければいけません。しかし、多くの人が利用するフリマアプリでは、本名ではなく自分でハンドルネームを設定する事が出来ます。そのハンドルネームを取引相手の氏名として記載しても、古物商の義務を果たしている事にはなりません。

そもそも古物台帳に取引相手の情報を記載するのは、万が一盗難品や偽物を取引してしまった場合に、いち早く対処する為です。ですから、ハンドルネームでは全く意味をなさないのです。一見すると本名のように見えるハンドルネームであっても、同様です。

古物台帳への記載内容は、古物営業法により決まった様式があります。その氏名欄には、法令で定められた「非対面取引における本人確認の方法」に則ったやり方で判明した名前を記載しなければいけません。ですから、当然ハンドルネームではNGとなります。

Q3:フリマアプリで本人確認が難しいため社員が個人で購入し、その後に買取業者が社員から買い取る方法であれば問題ない

A3:いいえ。

個人であれば本人確認の必要はないという考えが、そもそも間違っています。例え個人であっても、業としてフリマアプリで商品を購入する場合は、古物商の許可が必要です。社員がプライベートで使用する目的でモノをフリマアプリで購入するなら、確かに古物商の許可・本人確認は必要ありません。

ですが、このケースでの目的は、プライベート使用ではなくビジネス目的と判断されます。つまり、社員も古物商の許可を取得し、古物営業法に則った取引をしなければいけないのです。その為、このやり方でも本人確認の義務からは逃れられません。

社員が本当に個人目的で欲しくて購入し、社員が勤めている会社が不要になった段階で買い取るというのであれば問題はありませんが、取り持っているという疑いの目は警察からかかります。

何故、古物商には本人確認が義務付けられているのか、もう一度考えてみましょう。それは、盗難品の売買の防止・早急な対処を可能とする為です。社員が本人確認なしで購入した古物をリサイクルショップ等で販売する場合、その目的を果たせるでしょうか。

もし社員個人が購入した商品が、盗難品だった場合でも、警察に有効な情報を提供出来なくなってしまいます。そればかりか、業者も不利益を被ってしまうでしょう。

Q4:1万円以下であればフリマアプリでの買取も可能

A4:場合による

古物台帳への記録は、全ての取引で行う必要がある訳ではありません。原則として、取引の合計が1万円未満の場合は、古物台帳への記録が免除される事になっています。つまり、上記の取引では、フリマアプリで難しい本人確認も不要です。

1万円未満の場合に古物台帳への記録が義務付けられていないのは、盗難リスクが低いと判断される為になります。古物営業法の目的は、盗品等の売買の防止・速やかな発見です。
その為、盗難リスクの低い1万円に満たない取引は対象外となるのです。

ただし、1万円未満の取引であっても本人確認をして、古物台帳への記録が必要なケースもあります。

買取り時

  • ゲームソフト
  • CD、DVD、Blu-ray Disc等
  • 書籍
  • 自動二輪、原付(部品含む)

販売時

  • 自動二輪
  • 原動付き自動車(部品は含まない)

上記の品目は、取引総額1万円未満であっても本人確認及び古物台帳への記録が、義務付けられています。何故なら、上記の品目は盗品リスクが高いジャンルになる為です。

リサイクルショップや古本屋等に買取って貰い、現金を手に入れる目的で盗み働くケースが非常に多くなっています。そのため、上記の品目に該当するモノは、取引金額にかかわらず本人確認・古物台帳への記録が必要となります。

加えて、多くの自治体で青少年育成条例によって、未成年の買取が規制されています。未成年かどうかの本人確認は必要と定められている場合に、本人確認しなければ売買できません。加えて、民法では親権者の同意を得ていない場合に、未成年者取り消しを行うことができるため、古物商人に損出が生まれることも考えられます。

“第十五条 質屋(質屋営業法(昭和二十五年法律第百五十八号)第一条第二項に規定する質屋をいう。以下同じ。)は、青少年から物品(次条第一項に規定する物を除く。)を質に取つて金銭を貸し付けてはならない。
2 古物商(古物営業法(昭和二十四年法律第百八号)第二条第三項に規定する古物商をいう。以下同じ。)は、青少年から古物(次条第一項に規定する物を除く。)を買い受けてはならない。
3 前二項の規定は、青少年が保護者の委託を受け、又は保護者の同行若しくは同意を得て、物品の質入れ又は古物の売却をするものと認められるときは、適用しない。
4 何人も、正当な理由がある場合を除き、青少年から質入れ又は古物の売却の委託を受けないように努めなければならない。”(東京都青少年の健全な育成に関する条例第15条)

Q5:フリマアプリで新品を買い取れば本人確認が不要

Q5:いいえ。フリマアプリで購入する以上は中古品

新品であれば古物商許可が不要で本人確認は当然不要ですが、古物営業法上の新品の定義から考えると、メーカーが直接フリマアプリで販売している等の特殊な状況がない限り、フリマアプリにあるものは中古品です。

フリマアプリは個人が不用品を売る場所であるため、一度消費者の手に渡ったものです。転売を目的に、古物商許可を得ずにフリマアプリから新品を売買しているケースもあると思われますが、警察から行としておこなっていると判断されれば古物営業法違反となります。罰せられた場合に、3年以下の懲役または100万年以下の罰金に加え、5年間は古物商許可を得られなくなります。

まとめ

上記は、非常に多く散見される誤解事例です。大手買取業者であっても、誤った取引方法をしているケースが確認されています。一斉摘発となった場合に、大きな打撃を受けることでしょう。

古物営業法をはじめとした法律は理由があって定められていますから、きちんと法律を遵守して古物営業を行うよう、呼びかけていきたい所存です。

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