転売で違法になるケース6つ・法的根拠

副業としても人気の転売。安く購入できるルートから商品を仕入れて、利益を上乗せして販売する仕事です。法律違反だと言われる事があるビジネスですが、実際には、そんなことはありません。

ルールさえ守れば、誰にも咎められることなく行えます。ですが、やり方によっては違法となってしまうケースもあるため注意しましょう。過去には、法に反した転売をすることで、罰金を科されたり逮捕された例もあります。そこで違法となってしまう6つのケースを紹介していきます。

1.古物商なしでの中古品転売

転売をするために仕入れた商品が、新品ではなく中古の場合は古物商の許可を取得しなくてはいけません。ここで注意するべきは、中古品/古物の定義です。

警視庁の見解に基づくと、メーカーや小売店以外が仕入れたものは全て中古品。メーカーや小売店のほか、オークション・フリマアプリ等で仕入れた物は、新品であっても中古品に分類されます。

これを知らずに、古物商なしで転売をしていると、古物営業法違反となってしまいます。3年以下の懲役や100万円以下の罰金、もしくはその両方が課せられる決まりです。

第三十一条 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

一 第三条の規定に違反して許可を受けないで第二条第二項第一号又は第二号に掲げる営業を営んだ者(「古物営業法」第31条)

安く仕入れるために、メーカーや小売店として正式に卸すのではなく、閉店セールになっているニーズがある品、倒産品のほか、消費者から商品を購入することが想定されています。そのため、一度買ったものを再販する人の大半は、古物商許可の申請をしています。

しかし、中にはビジネスという意識がなく許可の取得は不要だと考えている人も多いもの。例え個人でアプリ等を利用して売買を行っている場合でも、扱っている商品数や頻繁に繰り返される売買によっては、業と見なされてしまいます。それを判断するのは、自分ではありません。初めから利益を出すことを考えてアイテムを購入すると、それは仕入れと見なされ古物商が必要になると覚えておきましょう。

2.チケットの転売

コンサートのチケットを購入した正規価格より高く転売する事は、法律違反に該当します。「特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律」により定められており、1年以下の懲役または100万円以下の罰金、その両方が科されます。

第三条 何人も、特定興行入場券の不正転売をしてはならない。(特定興行入場券の不正転売を目的とする特定興行入場券の譲受けの禁止)
第四条 何人も、特定興行入場券の不正転売を目的として、特定興行入場券を譲り受けてはならない。

第九条 第三条又は第四条の規定に違反した者は、一年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。(「特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律」第3条、第4条、第9条)

こうした行為は、チケットを購入したい消費者の妨げになると共に興行主にとっても不利益です。ただし、全てのチケットがこの法律の対象ではありません。特定興行入場券のみが対象です。逆に上記に該当しない日時が指定されていないもの、入場資格の確認が行われない物、チケットに転売禁止の旨が記載されていない物は、違法になりません。

となると気になるのは、自分で参加する為に購入したものの、どうしても行けなくなってしまうケース。
このような場合に、オークションやアプリで定価以下で売る行為は禁止されていません。ただし、購入価格よりも高く売っているかどうかに注目されるでしょう。

また、購入した本人しか入場できないケースもあります。それを伝えずに転売をした場合、購入者との間でトラブルとなる可能性も考えられます。

3.資格や許可なしに販売できない物を転売

中古品ではなく、新品であっても資格や許可なしに取り扱えない商品もあります。例えば医療品や医療機器、化粧品や酒類などが該当します。

お酒なら酒税法により無許可販売が禁止されているため、一般酒類小売業免許が必要になります。医療品、医療機器は薬事法により、取り扱う品の区分に応じた許可を都道府県に申請しなくてはいけません。海外の化粧品を安く購入して、国内で転売する場合も化粧品製造・販売の許可が必要です。

このように自分が転売するアイテムは、どんな法律の適用を受けてどんな資格や許可が必要となるのか、あらかじめ勉強しておかなければいけません。チケット販売や古物商以外の許可が必要なアイテムについては、こちらの記事でまとめているためご確認ください。

4.正規店以外での非正規販売

シャンプーやトリートメント、化粧品の中には、美容室やエステ店以外での販売が禁止されているものがあります。メーカーとの間でそうした専売契約のあるアイテムを不正にネットで転売すると、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律、通称・医薬品医療機器法違反に問われる可能性があります。

第七十六条の四 指定薬物は、疾病の診断、治療又は予防の用途及び人の身体に対する危害の発生を伴うおそれがない用途として厚生労働省令で定めるもの(以下この条及び次条において「医療等の用途」という。)以外の用途に供するために製造し、輸入し、販売し、授与し、所持し、購入し、若しくは譲り受け、又は医療等の用途以外の用途に使用してはならない。

第八十三条の九 第七十六条の四の規定に違反して、業として、指定薬物を製造し、輸入し、販売し、若しくは授与した者又は指定薬物を所持した者(販売又は授与の目的で貯蔵し、又は陳列した者に限る。)は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。(「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」第76条の4、第83条の9)

実際に、美容室専売品の製造番号を消した上でネット転売を行い書類送検された事例があります。こうした契約を無視した不正転売には注意しなければいけません。

5.偽物や盗品の転売

コピー品のような偽物や盗品の転売は違法です。商標法、意匠法、著作権法などの法律により、懲役10年以下、罰金1000万円以下の刑罰が科される可能性があります。

知らずに盗品を買取って仕入れたケースと意図して仕入れ転売したケースでは話は違ってきます。ただし、場合によっては知らなかったでは済まないこともあるため注意しましょう。近年はより、模造品に対する規制・取り締まりが強化されました。

6.種の保存法で売買が禁止されているものの転売

象牙のように、現在取引が禁止されているアイテムの販売及び転売は禁止されています。象牙の全形だけではなく、象牙を加工した置物や印鑑も対象です。ただし、きちんと国へ特別国際種事業の登録がされている象牙及び加工品は対象外です。転売をする際には、その品物がきちんと登録されているものかどうかを確かめる必要があります。

違反した場合、個人であれば5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金、またはその両方が科せられてしまいます。また法人だと、最高で1億円もの罰金を支払わなければいけません。特別国際種事業の登録は、更新が必要だという点にも注意しましょう。

第九条 国内希少野生動植物種及び緊急指定種(以下この節及び第五十四条第二項において「国内希少野生動植物種等」という。)の生きている個体は、捕獲、採取、殺傷又は損傷(以下「捕獲等」という。)をしてはならない。ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。

一 次条第一項の許可を受けてその許可に係る捕獲等をする場合
二 販売又は頒布をする目的以外の目的で特定第二種国内希少野生動植物種の生きている個体の捕獲等をする場合
三 生計の維持のため特に必要があり、かつ、種の保存に支障を及ぼすおそれのない場合として環境省令で定める場合
四 人の生命又は身体の保護その他の環境省令で定めるやむを得ない事由がある場合

第十二条 希少野生動植物種の個体等は、譲渡し若しくは譲受け又は引渡し若しくは引取り(以下「譲渡し等」という。)をしてはならない。ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。

一 次条第一項の許可を受けてその許可に係る譲渡し等をする場合
二 特定第一種国内希少野生動植物種の個体等の譲渡し等をする場合
三 販売若しくは購入又は頒布をする目的以外の目的で特定第二種国内希少野生動植物種の個体等の譲渡し等をする場合
四 国際希少野生動植物種の器官及びその加工品であって本邦内において製品の原材料として使用されているものとして政令で定めるもの(以下「原材料器官等」という。)並びにこれらの加工品のうち、その形態、大きさその他の事項に関し原材料器官等及びその加工品の種別に応じて政令で定める要件に該当するもの(以下「特定器官等」という。)の譲渡し等をする場合(第三十三条の六第一項に規定する特別特定器官等(第七号及び第十七条各号において単に「特別特定器官等」という。)を、同項に規定する特別国際種事業(第十七条第二号において単に「特別国際種事業」という。)として譲り渡し、又は引き渡す場合を除く。)
五 第九条第三号に掲げる場合に該当して捕獲等をした国内希少野生動植物種等の個体若しくはその個体の器官又はこれらの加工品の譲渡し等をする場合
六 第二十条第一項の登録を受けた国際希少野生動植物種の個体等又は第二十条の四第一項本文の規定により記載をされた同項の事前登録済証に係る原材料器官等の譲渡し等をする場合
七 第三十三条の七第一項に規定する特別国際種事業者(第十七条第二号において単に「特別国際種事業者」という。)が、特別特定器官等の譲渡し又は引渡しをする場合
八 希少野生動植物種の個体等の譲渡し等をする当事者の一方又は双方が国の機関又は地方公共団体である場合であって環境省令で定める場合
九 前各号に掲げるもののほか、希少野生動植物種の保存に支障を及ぼすおそれがない場合として環境省令で定める場合
第十五条 特定第一種国内希少野生動植物種以外の国内希少野生動植物種の個体等は、輸出し、又は輸入してはならない。ただし、その輸出又は輸入が、国際的に協力して学術研究をする目的でするものその他の特に必要なものであること、国内希少野生動植物種の本邦における保存に支障を及ぼさないものであることその他の政令で定める要件に該当するときは、この限りでない。

第五十七条の二 次の各号のいずれかに該当する者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

一 第九条、第十二条第一項又は第十五条第一項の規定に違反した者(「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」第9条、第12条第1項、第15条第1項、第57条の2)

絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律、通称・種の保存法と深く関わるワシントン条約について知りたい方はぜひ、こちらの記事もご一読ください。

そして、上記のような情報のアップデートに関心がある方はぜひ、弊社「古物査定士認定協会」資格の取得をご検討ください。

古物査定士資格取得に関する問い合わせ窓口
(当面の間は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、資格試験をオンライン上で行うこととします)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です