【古物商】無許可販売で違法になるもの・古物商許可以外で必要なもの

古物査定士認定協会

“古物商”という言葉を耳にしたことがありますでしょうか。簡単に言えば、古物営業法に規定される古物を、業として売買または交換する業者・個人のことを指しています。

そういうと、仕事で必要になる資格だと思われるでしょうけれども、最近、『メルカリ』や『ヤフオク!』、『ラクマ』といったフリマアプリが発達しているため、実は自分に関係があることだった…という人も少なくありません。お小遣い稼ぎのつもりで使っていたにも関わらず、使い方によっては“古物営業法違反”で逮捕されることもあります。知らず、違法行為をしてしまうのは大変危険ですよね。

本記事では、古物商とはなにか、古物商が必要になる対象者はどういう人か、古物商の許可を得ていても、その他の法に抵触して罰則を受けるものにどういった物があるか確認していきます。

古物商とは

フリマアプリ利用者でも関係する可能性のある古物商は、資格ではなく厳密には“許可”です。業を行なっていないと許可を取り消されることもありますが、古物を扱う業を行う際には必ず必要なものとなります。

では、古物とは一体なんなのでしょうか。そして、古物商はどういった人が許可を得て取得する必要があるものなのでしょうか。順を追って確認していきましょう。

古物とはなにか

古物商における古物は、「古物営業法」第2条で明確に定義されています。中古品は古物ですが、新品でも状況によっては古物とみなされます。具体的には、以下の3つが条件となります。

  1. 一度使用されたもの
  2. 一度も使われてはいないが、使うために取引が行われたもの
  3. 上記の物品に対し、“幾分の手入れ”をしたもの

つまり、消費者の手に渡ったものは“使うために取引が行われたもの”とみなされ、古物になります。お店で新品で買ってきても、古物営業法の定義に基づけば“新品”という扱いではないということです。これが仮に法人などが、消費者としてではなく、“業として”仕入れた場合には、新品の扱いになります。

また、“一度使用されたもの”や“使うために取引が行われたもの”をたとえ新品同様に手入れしたとしても、一度中異なったものは新品に戻ることはありません。

古物扱いにならない例外品

「古物営業法」において、古物とならない例外のものがあります。古物に該当しないものとして、古銭、趣味で集めた切手やテレホンカード、重量物、金属原材料があります。

また、海外から仕入れたものは法律の適用外です。海外へ出向き、海外で購入した場合には古物商の許可が必要ありません。ですが、海外で購入したのではなく、海外から仕入れてきたバイヤーから購入した場合には日本の法律が適用されるため、古物商許可が必要になります。また、日本から輸出する場合にも、「古物営業法」の適用範囲です。

最近、海外の通販アプリを利用する人が増えており、また、海外との連絡も取りやすくなっていますが、買い手が日本にいながら海外から物をより寄せる場合には、「古物営業法」の適用となるか解釈が割れるところがあります。不安な場合には、所轄の警察署へ確認を行いましょう。

所轄がわからない場合の参考:警視庁HP

https://www.keishicho.metro.tokyo.jp/smph/about_mpd/shokai/ichiran/kensaku/index.html

業として扱っているかは警察が判断する

古物を買い取って販売することを業とする場合、個人事業主であっても会社を設立して事業を展開する場合でも必ず古物商の資格が必要になります。もし、古物商の資格なしで利益目的の古物売買を行った場合は、「古物営業法」第31条第1項に基づき、3年以下の懲役、100万円以下の罰金またはその両方が科せられてしまうのです。

“第三十一条 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
一 第三条の規定に違反して許可を受けないで第二条第二項第一号又は第二号に掲げる営業を営んだ者”(古物営業法第31条第1項)

古物商は許可申請を行えば、業を行うのにふさわしくないとされる“欠格事由”などに該当しない限り、誰でも許可を得ることができます。どのような形であっても古物売買を業とするなら、古物商の許可申請は必ずとっておきましょう。

しかし、“業とする”といっても、自己申告というわけではなく、業か否かは警察が判断をします。そこで、判断基準についても確認しておきましょう。

業としてみなされる基準

自分が使っていたものや無償をもらったもの、相手に売ったものを買い戻す場合などは古物商許可が必要ありませんが、古物を繰り返し買い取って売ったり、修理・部品をとって売ったりする場合には必要になります。

特に、生計が立つほどの利益を得ている場合には業とみなされ、「古物営業法」違反として取り締まられる可能性が非常に高いです。

また、レンタルや物々交換、委託売買なども古物商許可が必要となります。判断が難しい場合には、所轄の警察署へ相談することも視野に入れましょう。

ちなみに、レンタル業の中でも、CD・DVDは「日本映像ソフト協会」への加盟が必要です。レンタカーも“自家用自動車有償貸渡業許可”が別に必要となりますので、注意しましょう。

古物商許可があっても販売できないもの

仮に古物商許可を受けたとしても、転売をすることで違法となるケースがあります。注意したいものは以下の6項目です。

一部のチケットの転売

一部のチケットは、「特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律」、通称「チケット不正転売禁止法」の規制対象となります。規制対象となるのは、以下の内容です。

  • 無料配布ではなく、不特定多数の人に販売されているもの
  • 国内で開催される不特定多数が見たり聞いたりできる興行
  • チケットを提示することで入場できるもの
  • 有償の譲渡が禁止されていて、入場の際に本人確認などが行われるもの
  • 興行の日時や場所、座席が指定されているもの

違反した場合に、1年以上の懲役もしくは100万円以下の罰則、もしくは併科となります。転売関連では、最も逮捕事例の多いものと言えるでしょう。

“第九条 第三条又は第四条の規定に違反した者は、一年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する”(チケット禁止法第9条)

ブランド品の偽物

特に海外通販などで多く出回っている印象がありますが、商標登録のされているブランド品の偽物を知っていながら販売すると「商標法」違反に抵触し、10年以下の懲役若しくは1,000万円以下の罰金もしくは併科となります。海外から購入した場合には、「関税法」も違反することになり、10年以上の懲役若しくは3,000万円以下の罰金もしくは併科となります。仮に知らなかったとしても、任意放棄とみなされ罰則の対象となります。

“第七十八条  商標権又は専用使用権を侵害した者(第三十七条又は第六十七条の規定により商標権又は専用使用権を侵害する行為とみなされる行為を行った者を除く。)は、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する”(商標法第78条)

“第六十九条の十一 次に掲げる貨物は、輸入してはならない。
九 特許権、実用新案権、意匠権、商標権、著作権、著作隣接権、回路配置利用権又は育成者権を侵害する物品”(関税法第69条の11の9項)

“第百八条の四 第六十九条の二第一項第一号(輸出してはならない貨物)に掲げる貨物を輸出した者(本邦から外国に向けて行う外国貨物(仮に陸揚げされた貨物を除く。)の積戻し(第六十九条の十一第二項(輸入してはならない貨物)の規定により命じられて行うものを除く。)をした者を含む。)は、十年以下の懲役若しくは三千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する”(関税法第108条第4項)

また、仮に本物だと偽って販売した場合には、詐欺罪とみなされ、10年以下の懲役となります。

“第二百四十六条 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する”(刑法第246条)

加工した食品

最近は「メルカリ」などでも食品の出品ができるようになりましたが、食中毒などが発生する可能性があるため、食品を加工して販売を行う場合には、「食品衛生法」に基づく営業許可が必要やその他免許が必要になります。許可を受けずに販売した場合には、「食品衛生法」「風営法」に違反し、2年以下の懲役または200万円以下の罰金が科せられます。

“第五十二条 前条に規定する営業を営もうとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、都道府県知事の許可を受けなければならない”(食品衛生法第52条)

“第七十二条 第十一条第二項(第六十二条第一項及び第二項において準用する場合を含む。)若しくは第三項、第十六条(第六十二条第一項及び第三項において準用する場合を含む。)、第十九条第二項(第六十二条第一項において準用する場合を含む。)、第二十条(第六十二条第一項において準用する場合を含む。)又は第五十二条第一項(第六十二条第一項において準用する場合を含む。)の規定に違反した者は、二年以下の懲役又は二百万円以下の罰金に処する”(食品衛生法第72条)

海外の化粧品

海外の化粧品を扱う場合に、“化粧品製造販売業許可”が必要になります。許可を受けていない場合に、「医薬品医療機器等法」違反にみなされ、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金もしくは併科が科せられます。

“第74条医薬品(体外診断用医薬品を除く。以下この条において同じ。)、医薬部外品又は化粧品を輸出するためにその製造等(法第2条第13項に規定する製造等をいう。以下同じ。)をし、又は輸入をしようとする者(以下この項において「医薬品等輸出業者」という。)は、あらかじめ機構(専ら動物のために使用されることが目的とされている医薬品又は医薬部外品にあっては、医薬品等輸出業者の住所地(法人の場合にあっては、主たる事務所の所在地)の都道府県知事)を経由して当該医薬品、医薬部外品又は化粧品の品目その他厚生労働省令で定める事項を厚生労働大臣に届け出なければならない”(医薬品医療機器等法第74条)

“第84条次の各号のいずれかに該当する者は、3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
(21)         第74条の規定による命令に違反した者”(第84条21号)

酒類

最近、フリマアプリなどでお酒の出品がされていますが、継続的に販売する際には、「酒税法」に基づき、“酒類販売免許”が必要となります。酒税法に違反した場合には、1年以下の懲役または50万円以下の罰金に処されます。

“第九条 酒類の販売業又は販売の代理業若しくは媒介業(以下「販売業」と総称する。)をしようとする者は、政令で定める手続により、販売場(継続して販売業をする場所をいう。以下同じ。)ごとにその販売場の所在地(販売場を設けない場合には、住所地)の所轄税務署長の免許(以下「販売業免許」という。)を受けなければならない。ただし、酒類製造者がその製造免許を受けた製造場においてする酒類(当該製造場について第七条第一項の規定により製造免許を受けた酒類と同一の品目の酒類及び第四十四条第一項の承認を受けた酒類に限る。)の販売業及び酒場、料理店その他酒類をもっぱら自己の営業場において飲用に供する業については、この限りでない”(酒税法第9条)

“第五十六条 次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
一 第九条第一項の規定による販売業免許を受けないで酒類の販売業をした者“(酒税法第56条1項)

法律で規制されているもの

法律上、そもそもの販売が規制されているものがあります。具体的には以下の内容となります。

  • 危険食品
  • 爆発物
  • 銃火器
  • 刃物
  • 銀行口座
  • 契約中の携帯電話
  • 盗品
  • 無修正アダルト商品
  • 児童ポルノ
  • 違法ドラッグ
  • 「ワシントン条約」に接触するもの

まとめ

「古物営業法」に定められる古物を繰り返し営利目的で販売したり、レンタルを行ったりする場合には、古物商の許可が必要になります。ですが、一部のチケットやブランド品の偽物、法律で規制されているものは販売できず、加工した食品や化海外の粧品、お酒はその他の許可などが必要になるため注意が必要です。

普段あまり意識しておらず売買されているものも、各種の法律で規制されていたり、販売するにあたって許可を得ることが義務付けられていたりすることがあります。知らず犯罪を犯さないためにも、ものの売買を行う際にはよく確認をしてからにした方が良いでしょう。

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