会社から独立したい人やフリーランス・起業家志向がある人などから、リサイクルショップなどの古物営業が注目されつつあります。その分野に関心がある人は、古物を扱う上で古物商許可申請を行う必要があることはなんとなく理解していることでしょう。
しかし、古物営業にあたって必要になるのは古物商許可申請だけではありません。営業開始までに準備しておきたいことを整理しておく必要があります。その中で「開業届と古物商許可申請のどちらを優先しておいた方がいいか」という疑問が生じることがあるため、仕組みから説明していきます。
古物営業を始めるにあたって準備しておくこと
リサイクルショップやアンティークショップなどを始めようと思った場合に、古物商許可申請を提出すればすぐに開始できるというわけではありません。許可を得るだけでなく、さまざなな準備が必要です。一度、整理しておきましょう。
1.古物商許可申請に関する書類を提出
警察署へ提出する古物商許可申請で必要になるのは、警察の公式サイトに記載がある許可申請書の「古物営業法施工規則別記様式第1号」と、添付書類となる略歴書・誓約書です。法人役員が複数いる場合には「別記様式第1号その1(イ)」、その他の営業所・そのほかの古物市場がある場合には「別記様式第1号その3」も記入します。
それに加え、市役所から住民票・身分証明証をもらっておく必要があります。自分の持ち家ではない場合には営業の許諾や賃貸証明書、インターネットを使用する場合にはURLの使用権限疎開資料、法人の場合には定款も用意します。
書類について不安がある方は、こちらにご案内があります。
2.開業届を提出
法務局へは、個人・法人いずれの場合でも開業した旨の届け出が必要です。個人事業主の場合には、開業前もしくは開業してから1ヶ月以内に開業届けを提出しましょう。法人を設立する場合には法人設立届出書を開業前、もしくは開業してから2ヶ月以内に提出する必要があります。
青色申告申請は煩雑なイメージがあるかもしれませんが、「クラウド会計ソフト freee」や「弥生会計」などのソフトを使うと比較的簡単に作成できます。
節税効果が高いため、できるだけ青色申告の手続きをしておきましょう。開業届と同時に行うことをお勧めしますが、青色申告承認申請は基本的に開業から2ヶ月以内が申請期間です。
税金面に不安がある場合に、税理士に依頼する方法もあります。金額は規模や依頼する業務範囲などによってもさまざまです。
3.店舗の用意
実店舗で古物営業を行う場合に、店の準備をする必要があります。外装や内装だけでなく、商品の配置や導線も考えて行きましょう。慣れている人は、自力でできる部分は自力でリフォームを施工すると、費用を削減できます。
4.開業準備
古物営業は、基本的には商品を仕入れた状態で開始します。古物を保管しておく倉庫もしくは、保管できる十分な店舗を用意しておきましょう。品目によっては、大きなスペースが必要になることがあります。古物商許可申請においては、「商品を保管することが可能か」も含め審査がされると言われているため注意しましょう。
商品の仕入れは歩きや自転車でも行うことができますが、車がある方が何かと便利です。必要に応じてトラックなどの準備もしておきましょう。事業用軽貨物車として登録し、事業用黒ナンバーを取得しておくと、保険は高くなるかもしれませんが、自動車税などを節約することができます。
開業資金は数百万用意していくのが望ましいです。商品数の目安は300点ほどと言われています。副業程度でインターネット売買を主とするなら、もう少し少なくてもよいかもしれませんね。
5.集客
お店ができたことを周知させなければお客さんがなかなか来ないため、宣伝も行なっておきましょう。チラシ、SNS、看板など様々な方法を用いることができます。ただし、宣伝については古物商許可申請で許可が降りてからとなります。
開業準備と古物商許可申請はどっちが先?
実店舗を設ける場合に、宣伝を行うために先に古物商許可申請をとっておくのが望ましいです。
実店舗がない場合には、開業準備と古物商許可申請はどちらが先になっても問題がありません。しかし、古物商許可申請が通っていないと開業することができないため、開業準備よりも古物商許可申請を先に行っておくのがよいでしょう。
手順としては、古物商許可申請→開業準備→開業届の提出、もしくは古物商許可申請を優先しつつ開業準備を同時並行→開業届がおすすめです。
あまり時間がない場合や書類が苦手な場合には、5万円ほどで行政書士に頼む方法があります。費用を最小限に抑えたい場合には、入力ソフトを使って作成できるようなサービスを利用すると、あまり時間をかけずに作成することができます。
古物商許可申請は行政書士に頼むとどこまで代行してもらえる?
時間短縮において非常に便利な行政書士。それなりの費用を払うため、どこまで代行してもらえるのか知った上で検討したいものです。
実は、依頼する事務所によって、代行可能な範囲は異なります。そこで、よくあるプランについて説明していきます。
基本的にサポートの範囲が広がるほど金額も高くなると考えてください。申請が個人か法人かによっても費用は異なります。
プラン1.証明書の取得
古物商の許可を申請するには、必要な証明書類を用意しなければいけません。法人か個人かによっても必要な物は異なり、他にも条件によって用意すべき証明書類は変わってきます。そのため、この証明書を市役所や法務局から収集するだけでも随分と手間隙が掛かります。「必要な証明書が不足して、申請ができない……」といった例も珍しくありません。
行政書士に依頼をすると、こうした手続きに必要な証明書を集め、取得するまでを代行して貰うことが可能です。行政書士によっては、申請書の作成マニュアルの用意・必要な証明書の取得代行までのサービスを用意している事務所もあります。
申請の際に必要となる添付書類は、住民票の写し・身分証明書などです。法人の場合、登記簿謄本や法人の定款も用意しなくてはいけません。これらの必要な証明書類の取得を全て代行してもらえます。
自分で申請書を作成する必要はあるものの、数千円という低価格で利用できるのが特徴です。
プラン2.証明書の取得から申請書の作成まで
行政書士に依頼した場合、最もスタンダードなカタチとなるのが「証明書の取得から申請書の作成」までを代行するプランです。上記の必要な証明書の取得に加えて、申請書の記入まで行政書士が行ってくれます。作成してもらえる書類は、古物商許可申請書に加えて申請者が欠格事由に該当しない旨を記載した誓約書、直近5年分の経歴を記載した略歴書です。全ての書類に対応してもらえるため、自分ですることは、管轄の警察署への提出だけです。
相場は30,000円~50,000円程度です。どこの事務所へ依頼する場合でも、法人申請の方が個人よりも約10,000円前後高い傾向にあります。法人の方が、やや手続きが複雑で取得証明書も多く、手間が掛かるためです。
プラン3.提出まで込みのプラン
証明書類集め方から申請書の作成だけではなく、警察署への提出まで含んだフルプランを用意している行政書士事務所もあります。
このフルプランでは、自身で行うのは押印のみで大丈夫。
このように行政書士に依頼をすると、プランによっては、ほぼ全ての過程を代わり行ってもらえます。
ただし、提出までしてもらいたいと考えているなら、行政書士事務所の所在地にも注意しなくてはいけません。
というのも、提出可能な対応地域は、事務所の所在する近隣地域に限られているものだからです。
対応地域は必ず確認しておきましょう。
全ての代行プランに共通していること
ここでは、行政書士による古物商申請代行プランに共通して含まれる項目を紹介します。ただし、事務所によっては含まれていないこともあるため、注意してください。
1.古物商取得にあたって欠格事由の確認がある
古物商を取得するには、欠格事由に該当していない必要があります。1つでも欠格要件にあてはまってしまうと、申請書を用意しても全て無駄になってしまいます。そのため、行政書士事務所では、はじめに依頼者の古物商取得可否を確かめてから、実際の業務に移ります。
2.警察とのやり取り
古物商の許可は、営業所のある都道府県によって求められる添付書類が違ったり、提出する警察署によって指摘内容が異なるケースもあります。そのため事前に警察と打ち合わせをしてから、書類の作成に取りかかった方が効率的です。事前の打ち合わせ無しでは、提出の際に不備を指摘されてしまうこともあります。
警察との事前打ち合わせも、標準的な代行プランには含まれているのが普通です。フルサポートプランでは、警察署へ書類の提出まで行いますが、県によっては予約が必要です。この打ち合わせも行政書士が代行してくれます。
3.開業後もアフターサポートを依頼できる
行政書士の代行サービスは、許可の申請までだけではなく、許可を取得した後のアフターサポートまで依頼も可能です。例えば、役員や営業所の変更などがあったときにも、変更手続きの代行を依頼することができます。
とはいえ、古物商によくある不安は開業準備や書類面の問題だけではありません。いきなり対お客様と接することへの不安も多くあります。
開業後に求められる「査定スキル」に不安がある場合にはぜひ、弊社「古物査定士認定協会」資格の取得をご検討ください。
古物査定士資格取得に関する問い合わせ窓口
(当面の間は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、資格試験をオンライン上で行うこととします)
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