残留物・残置物の買取に注意! 状況別で必要な許可が異なります

残留物・残置物の買取に注意! 状況別で必要な許可が異なります

「買取に入ったら残留物と思われるものだった」。そんなときは、安易に買取しないように気をつけましょう。

残留物・残置物の意味

残留物・残置物とは、賃貸物件などに前の入居者が残していった家財道具や衣服、その他の持ち物を指します。残留物よりも残置物という呼び方のほうが一般的です。

今は、家電や家財道具付きの賃貸物件も珍しくありませんが、賃貸物件に備え付けのアイテムは、残留物・残置物とはいいません。元居住者が所有している動産物のみが対象です。

また、亡くなった家族や親戚から引き継いだ不動産に残されていた遺品を残留物・残置物と呼ぶこともあります。

残留物・残置物は勝手に処分してはいけない

残留物・残置物が発生する理由はさまざま。引っ越しの際に自分で片付けずに残していくケースが多くなっていますが、夜逃げや入居者の死亡により残留物・残置物が発生してしまうこともあります。

残留物・残置物をそのままにしていては、次の入居者に物件を貸す際に支障が出てしまうでしょう。管理人や大家さんが必要性に迫られて片付けをすることになります。

その際、自分で片付けるのではなく、買取業者を利用して処分しようとするケースが多く見られます。しかし、管理人や大家さんから依頼をされたとしても残留物・残置物を勝手に処分をすると法律的な問題が発生することもあるため、注意しましょう。

たとえ依頼者の管理・所有する不動産に残された品々であっても、勝手に処分できないからです。

残留物・残置物を買取する前に確認しておくこと

残留物・残置物の買取では、後々トラブルに発展することがあります。過去には所有者から返品を求められたり、訴えられたりした事例もあります。

そのため、業者は買取をする前、依頼者にいくつかのポイントを確認しておくべきです。確認を怠ることで、思わぬトラブルに巻き込まれないようにしましょう。

売りたいものは残留物・残置物ではないか?

まずはじめに売りたいものが、残留物・残置物ではないかどうかを必ず確認しておきましょう。残留物・残置物は勝手に処分できないことを知らない人も多いです。

そのため、説明なしで買取依頼をしてくるケースも少なくありません。ですから、依頼者からの申告がなくても必ず業者側から確認しておくようにしましょう。

所有権が移っているか?

買取依頼されたものが、残留物・残置物だったと判明したなら、所有権がどうなっているのか確認します。管理人・大家さんと前居住者との間で、双方認識のもと所有権の譲渡がおこなわれているかもしれません。この場合は、所有権が管理人・大家さんに移っているため、問題は起こりません。

しかし、失踪や夜逃げなど承諾のないままに自分の物を残していなくなるケースもあります。通常の引越しであっても、退去時に撤去せずに残していくこともあります。

所有権が移っていない状態では、権利者以外が勝手に処分することはできません。ですから、前居住者の残留物・残置物だと発覚したら、所有権についても必ず尋ねておきましょう。

所有権が移っていない場合にしなくてはならないこと

所有権が移っていない場合、そのままの状況では買取や処分は不可能です。とはいっても、残留物・残置物をそのままにしたまま、次の入居者に部屋を貸すのは難しいでしょう。

所有権が移っていなくても、適切な手段を取ることによって管理人・大家さん側で対応が可能となります。そこで、しなければいけないことをまとめてみました。

契約書に残留物について明記がないか確認する

アパートやマンションを貸借する場合、両者の間で賃貸借契約が結ばれます。その際に交付される賃貸借契約書・重要事項説明書には、残留物・残置物に関するルールも記載されているケースが多くなっています。

  • 「賃貸物件に残された残留物・残置物は、賃借人がその所有権を放棄すること」
  • 「所有権を放棄した残留物・残置物を賃貸人が処分するのに異議をとなえないこと」

以上のような合意が結ばれているのが、一般的です。もし、契約書を確認し上記のような合意がなされているなら、管理人・大家さんが残留物・残置物の処分をしても問題はありません。

ですが、この場合も注意したいポイントがあります。上記のような契約を結んでいても、通用しないケースがあるという点です。

引越しなど任意で賃貸物件を明け渡した場合は、上記の特約を実行できます。しかし、前居住者が家賃の滞納などにより強制退去させられた場合は、特約が通用しません。

勝手に処分した結果、賃貸人が損害賠償を請求され、裁判で認められた事例もあります。つまり、居住者の任意による明け渡しが特約を実行するために必要不可欠な条件といえます。

契約書に「残留物・残置物の処分に異議を唱えない」という文面が記載されていても、任意による明け渡しであったのか確認したほうが安心でしょう。

オーナーや不動産会社に前居住者に連絡を取ってもらう

所有権も移していない、契約書にて残留物・残置物の処分に関する取り決めもしていない場合は、オーナーや不動産業者を通して前居住者に連絡を取ってもらいます。そこで所有権を放棄してもらえば、買取や処分に支障をきたすことはありません。

連帯保証人に連絡を取ってもらう

残念ながら前居住者に連絡がつかないケースも珍しくありません。その場合は、連帯保証人及び保証人に連絡を取ってもらいましょう。

そこから前居住者に繋がる可能性があります。ちなみに、連帯保証人・保証人の承諾があっても、残留物・残置物の勝手な処分はできません。

解決しない場合に裁判所に申立てを行う

「所有権を放棄せず、引き取りもしない」「前居住者とも保証人とも連絡がつかない」など解決が難しいケースもあるでしょう。そういった場合は、いよいよ民事訴訟を起こすことになります。

夜逃げなどのように、賃貸契約が終了していない場合は、先に訴訟により賃貸借契約解除の手続きを行います。たとえ賃貸契約が終了していても、勝手に処分はできません。

次にするべきことは、強制執行の申し立てです。強制執行が認められると、残留物・残置物を管理人・大家さん側で自由に撤去できるようになります。

産業廃棄物収集運搬業等の認可が必要になるケースは?

残留物・残置物は、まとめて見積りを依頼されることが多いでしょう。その場合、全てのアイテムに値がつくとは限りません。年式が古すぎる電化製品、汚れが酷い、故障をしているジャンク品など買取できない物も出てくるはずです。

そんな買取できない残留物・残置物であっても、業者に引き取り依頼をしてくるケースは少なくありません。買取りではなく処分費用等を負担してもらい、残留物・残置物の回収・処分の引き受けを考えているなら、以下の点に注意をしてください。

個人宅か管理人・大家による片付けかで許可が異なる

個人宅のいらなくなった不用品なら、一般廃棄物収集運搬業の許可があれば問題なく回収・処分が可能です。

しかし、次の入居者を募集するために管理人や大家さんが、物件に残された家具や家電などを片付ける場合、話は違ってきます。上記は事業活動に伴い排出された廃棄物として、産業廃棄物に該当する可能性があります。

産業廃棄物とは、事業に伴い排出された物のうち、法と政令で定められた合計20種類を指します。例えば、残留物・残置物のうちプラスチック製品や金属製のアイテムは、産業廃棄物として扱われ、産業廃棄物収集運搬業の許可が必要です。合成繊維の衣類やファブリックも産業廃棄物にあたります。

残留物・残置物のすべてが産業廃棄物となるわけではありません。ですが、残留物・残置物の回収・処分をするなら、産業廃棄物収集運搬業の許可は、あったほうがいいでしょう。

また、家電リサイクル法の対象となっている家庭用のテレビ・冷蔵庫・エアコン・洗濯機などは法律に則り正しく処分しなければいけません。

困ったら残置物撤去業者に案内するのも方法

通常の不用品と違い、残置物の処分は複雑なケースが多いもの。手順を間違うと、思わぬトラブルに発展するかもしれません。特に買取のできない物の回収・処分を請け負うなら要注意。品物によって必要な許可を見極める必要があります。

一般廃棄物収集運搬業の許可のみでいいのか、それとも産業廃棄物収集運搬業の許可が必要なのか、きちんと判断してください。

対応に困るようであれば、専門の残置物撤去業者の利用を案内するという手もあります。リスクを避けるために買取できないものは、専門の業者へ任せるのもおすすめです。

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