知らなかったでは済まされない! 古物商の営業で気を付けたい罰則とは

知らなかったでは済まされない! 古物商の営業で気を付けたい罰則とは

古物商の営業に大きく関わるのが古物営業法です。昭和初期の法律であるために言い回しが古く、解読が難しいところもありますが、しっかりと罰則も明記されています。

知らなかったでは済まされないのが法律です。本記事では、罰則についての要点をまとめました。ぜひ読んで業務に生かしてください。

古物営業法における罰則とは

古物営業法は以下のような事柄を目的としています。

  • 盗品などの売買の防止と発見
  • 窃盗、およびその他犯罪の防止
  • これらの犯罪による被害の迅速な回復

法律に違反した者に科せられるのが罰則です。罰則を受けない営業は、犯罪に巻き込まれにくい状態と言えます。

3年以下の懲役または百万円以下の罰金となる罰則

古物営業法に違反して、3年以下の懲役または百万円以下の罰金が科せられる罰則を紹介します。どのような例があるか、具体的に見ていきましょう。

古物商の営業を行うにあたり、公安委員会の許可を受けなかった場合

古物商の営業をするためには、公安委員会からの許可を得なければいけません。一度人の手に渡ってしまったものは古物の扱いとなるため、例えばせどりなどで中古品を扱う場合には、許可が必要です。

安易な転売などは、法律違反となるおそれがあるため注意しましょう。

公安委員会の許可を不正に得た場合

公安委員会への許可を得る際、虚偽の報告をしたり、不正な方法で申請したりした場合も法律違反です。

例えば、古物営業法では、住所が定まっていない者は、古物商の許可が下りない決まりとなっています。そのため、住所を偽り、のちに虚偽が発覚した場合は罰せられることとなります。

名義貸しをして古物商を営んだ場合

自分の名義で他人に古物商の営業をさせてはいけません。古物商の許可には、禁固刑に処されてから5年が経過していないといけないなど、一定の基準があります。

そのため、基準を満たせない者に名義貸しを迫られる場合もあるでしょう。しかし、名義貸しをしてしまうと古物営業法違反となります。名義貸しはしてはいけないことを覚えておきましょう。

公安委員会の命令に違反した場合

公安委員会は、古物商業者の法律違反を発見した場合は、古物営業の全部もしくは一部の停止を命ぜられます。

公安委員会からの営業停止命令を受けたにもかかわらず、従わなかった場合には罰せられることになります。公安委員会から営業停止命令が来るような事態は避けたいところです。もし来てしまった場合は、素直に従いましょう。

営業の制限に反した場合、1年以下の懲役または50万円以下の罰金

古物営業法では、古物の営業に対していくつかの制限を設けています。制限の例には、委託を含む各種の取引を行う場所などがあります。自らの営業所や、取引先の住所や住まい以外の場所では取引できないことになっています。

そのため、上記の場所以外、例えば出張先では許可なく古物営業などはできません。ただし、日時や場所を定めてあらかじめ公安委員会に届け出たときは、許可される場合があります。

出先で古物の営業を行う場合には、営む場所を管轄している公安委員会に問い合わせると良いでしょう。

6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金となる罰則

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古物営業法に違反した場合、6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられる罰則があります。詳細を見ていきましょう。

古物市場において、古物商同士以外で取引や交換の委託をした場合

古物市場での取引は、古物商同士でなければ売買などの各種取引や、交換の委託をしてはいけません。そのため、取引する場合は、相手が古物商の許可を得ている業者か必ず確認しましょう。

取引先の真偽を確かめる措置をとらなかった場合

古物商が取引を行う際には、相手の真偽を確認しなくてはいけません。その際には以下の確認をとる必要があります。

  • 住所・氏名・職業・年齢
  • 上記が記載された文書(署名があるものに限る)
  • 電子署名が行われている電磁的媒体

いずれにしても、相手の素性をしっかりと確認したうえで取引を行わなければいけません。

帳簿を保存し開示できるようにしていなかった場合

古物商の取引は、帳簿もしくは電磁的方法による記録で保存し、開示できるようにしなくてはいけません。保存する内容は以下のとおりです。

  • 取引の年月日
  • 古物の品目及び数量
  • 古物の特徴
  • 相手方の住所、氏名、職業及び年齢
  • 住所などの確認方法

電磁記録は破損することも考えられるため、念のためのバックアップをおすすめします。

帳簿を付けていない、もしくは電磁的方法による記録もしていない場合

取引の詳細を記載した帳簿を保存していないと、罰則の対象となります。保存方法の特徴は、電磁的方法による記録でも良いことです。どちらにしても、取引の詳細を保存しておく必要があります。

電磁記録した媒体が壊れたり無くしたりしたときに届け出しなかった場合

帳簿を保存したCD-ROMなどの電磁記録媒体が、破損したり紛失したりした場合には、その旨を公安委員会に届け出る必要があります。電磁記録媒体を複数個持つことや、クラウドサービスへの保存も有効な対策です。

品触れした古物に対する届け出をしなかった場合

品触れに関わる書面を受け取った際、日付漏れや虚偽の記載をしても罰則の対象となります。品触れとは、警察が発行する手配書を指します。品触れは、受け取った日を記載し、6ヵ月保存しなくてはいけません。

重要な窃盗事件の被害品などの情報が記載されているもので、保存していない場合も罰則の対象となるので注意が必要です。

警察本部長等の命令に違反した場合

古物商業者が取り扱う古物が盗品であると疑われた場合、警察本部長等は保管を命じたり競りを停止させたりできます。盗品ではない、と自己の判断で市場に出すのはやめましょう。命令に違反した場合は罰則の対象となります。

20万円以下の罰金となる罰則50

古物営業法に違反した場合、20万円以下の罰金が科せられる罰則があります。それぞれについて紹介します。

古物商営業のための申請書、もしくは添付書類に虚偽の記載があった場合

古物商の営業許可を受けるためには、公安委員会に許可申請書と添付の書類を提出する必要があります。提出書類に虚偽の記載があった場合は罰則の対象となります。

許可申請書は古物営業の基礎情報となるものです。虚偽があっては基礎から崩れるため、真実の情報を記載しましょう。

古物市場主が経営する古物市場以外で競り売りをする場合の届け出をしない、もしくは虚偽の届け出をした場合

古物商の業者は、競り売りをしようとするときは、あらかじめ日時などを記載した届け出を提出する必要があります。(古物市場主が経営する古物市場で行う場合はこの限りではありません)

届け出をしなかったり、記載内容に虚偽があったりした場合は罰則の対象となります。

古物の競りあっせん業者が所定の届出書や添付書類を提出しない、もしくは虚偽の届け出をした場合

古物の競りあっせん業者は、営業開始の日から2週間以内に公安委員会に届出書を提出しなければいけません。提出をしなかったり、虚偽の届け出をしたりした場合には罰則の対象となります。

認定を受けていない者が、古物あっせん業者の認定を受けた表示、もしくは紛らわしい表示をした場合

古物競りあっせん業者は、業務の実施方法が公安委員会の定めた基準に適合していた場合、認定を受けられます。

しかし、その認定を受けていないにもかかわらず、認定を受けているような表示、もしくは紛らわしい表示をした場合は罰則の対象となります。

10万円以下の罰金となる罰則

古物営業法に違反して、10万円以下の罰金が科せられる罰則があります。それぞれについて見ていきましょう。

各種変更の届け出を提出しなかった場合

各種届け出の内容に変更があった場合は、すみやかにその内容を届け出なければいけません。違反した場合は10万円以下の罰金となります。

古物競りあっせん業を廃止した届け出を提出しない、もしくは虚偽の記載があった場合

古物競りあっせん業を廃止した場合も、届け出を提出する必要があります。提出し忘れていたり、虚偽の記載が認められたりした場合は罰則の対象となります。

その他の罰則

その他の罰則として、法人の代表者や代理人などが違反行為をした場合があります。罰則を受ける範囲が、行為者だけでなく法人にまでおよびます。法人として活動する場合は、法令順守に対して一層の注意が必要です。

また、許可証の返納について違反があった場合は5万円以下の過料に処されます。届け出なければならないのは、以下の表の者です。

  • 死亡した場合
  • 同居の親族、または法定代理人
  • 合併により法人が消滅した場合
  • 合併により設立された法人の代表者

同居している親族が古物商を営んでいても該当になる場合があるため注意が必要です。

まとめ

古物商を営むうえで古物営業法は守らなければいけない法律です。懲役にまで発展する恐れもあるため、とくに公安委員会への虚偽報告や名義貸しなどには注意が必要です。

基本的には、事前に必要な許可を調べ申請を行えば、問題事にならずに済むのが同法律の特徴です。

また、虚偽のない誠実な対応も求められています。盗品などの売買を防止するためにあるので、クリーンな業界とするためにも、法令を守って営業していただきたいと思います。

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