【古物商許可申請】整備法施行に伴う欠格事由や許可申請の変更点

古物査定士認定協会

古物営業許可をすでに受けている事業者は、令話元年12月14日から古物営業許可申請に変更点が生じたことをご存知ないかもしれません。また、欠格事由が緩和されたことから、これまで許可を得られなかった人が許可を得られるようになっています。引き継ぎを考えている人や欠格事由に当てはまっている人は、変更内容を確認しておいた方が良いでしょう。

今回は、欠格事由が変更する要因となった「成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律(整備法)」の概要や、欠格自由の変更・古物営業許可申請内容の変更点について確認していきます。

整備法とは

整備法と呼ばれるものの中には、「会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」や「成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律」などがあります。これらの法律は、立法により実現しようとすると多くの法律にも波及するため、既存の数多くの法律の改正が必要になります。

そのため、令話元年6月7日に成立し、12月14日から施行された「成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律(整備法)」によって、古物商業界では古物許可申請に影響ありました。

「成年被後見人等の権利の制限に係る…法律」とは

従来、これらの人に向けた「禁治産・準禁治産者宣告制度」という制度があり、財産管理などが制限されてきましたが、禁治産者になると事実が公表され戸籍にも残ることから、差別等を生む問題がありました。

そのため、平成12年に、障害がある人も社会で暮らしていくことができるよう、本人の残存能力の活用、自己決定の尊重の理念に基づき、成人後見人制度ができました。つまり、本来、未成年後見人制度とは、判断能力に欠く状況下にある人や十分にない状況にある人を保護するための制度です。

申し立ては、本人、配偶者、四親等以内の親族、検察官、市町村長などが可能で、制度を受けることで本人が失う資格や地位がありますが、後見人等に、財産管理の代理権、取消権などの権限が与えられました。

なお、医療校への同意や身元保証人、身元引受人、入院保証人等への就任、住居の決定、婚姻、離婚、養子縁組・離縁、認知等の代理、遺言については本人の意思決定が尊重されます。

しかし、この法改正では、成年被後見人等であることを理由に不当に差別されないことを目的として、成年被後見人等を資格・職種・業務等から一律に排除する規定等(欠格条項)が加わり、公務員等・士業等・法人役員等・営業許可等・法人営業許可等に変更がありました。

成年被後見人等であることを理由に欠格事由とみなされてきた条項が削除されました。その代わりとして、個別審査規程を設けることになるため、欠格事由が一部規制緩和されたと言えるでしょう。

施行日は、下記のように定めていますが、古物許可申請においては令和元年12月14日となっています。

  • 欠格条項を削除するのみのもの→原則として公布の日
  • 府省令等の整備が必要なもの→原則として公布の日から3月
  • 地方公共団体の条例等又はその他関係機関の規則等の整備が必要なもの→原則として公布の日から6月
  • 上記により難い場合→個別に定める日

古物商許可申請における変更点

古物商許可申請を行うにあたって、以下の変更点が生じています。スムーズに申請を行うことができるよう確認しておきましょう。

欠格事由の変更点

古物営業許可申請においては、以前は下記の欠格事由に当てはまらないことが条件となっていました。

  • “成年被後見人若しくは被保佐人又は破産者で復権を得ないもの

  • 禁錮以上の刑に処せられ、又は第31条に規定する罪若しくは刑法第235条、第247条、第254条若しくは第256条第2項に規定する罪を犯して罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることのなくなった日から起算して5年を経過しない者

  • 集団的に、又は常習的に暴力的不法行為その他の罪に当たる違法な行為で国家公安委員会規則で定めるものを行うおそれがあると認めるに足りる相当な理由がある者

  • 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第12条若しくは第12条の6の規定による命令又は同法第12条の4第2項の規定による指示を受けた者であって、当該命令又は指示を受けた日から起算して3年を経過しないもの ※1

  • 住居の定まらない者

  • 第24条の規定によりその古物営業の許可を取り消され、当該取消しの日から起算して5年を経過しない者(許可を取り消された者が法人である場合においては、当該取消しに係る聴聞の期日及び場所が公示された日前60日以内に当該法人の役員であった者で当該取消しの日から起算して5年を経過しないものを含む。)

  • 第24条の規定による許可の取消しに係る聴聞の期日及び場所が公示された日から当該取消しをする日又は当該取消しをしないことを決定する日までの間に第8条第1項第1号の規定による許可証の返納をした者(その古物営業の廃止について相当な理由がある者を除く。)で、当該返納の日から起算して5年を経過しないもの

  • 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者。ただし、その者が古物商又は古物市場主の相続人であって、その法定代理人が前各号及び第10号のいずれにも該当しない場合を除くものとする ※2

  • 営業所又は古物市場ごとに第13条第1項の管理者を選任すると認められないことについて相当な理由がある者

  • 法人で、その役員のうちに1から8までのいずれかに該当する者があるもの(古物営業法第4条)”

※1 2018年に「古物営業法」が改正され、追加となった。

※2 未成年の古物商許可申請について、古物商許可が得られるまでの期間が40日程度あることから、逆算して許可が得られる時期に成人になっていれば良いのではないかという解釈がありましたが、最寄りの警察署に確認したところ、申請日時点での欠格事由となるため、誕生日を迎えた後に許可申請を得た方が良いとのことでした。各警察署にとって判断が異なる可能性もあるため、詳しくは所轄の警察にご確認ください。

1つ目の「成年被後見人若しくは被保佐人又は破産者で復権を得ないもの」は、「破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者」へと変更になりました。

併せて、「心身の故障により古物商又は古物市場主の業務を適正に実施することができない者として国家公安委員会規則で定めるもの」が追加されています。申請者が古物商の取引で適切な判断ができるかどうかを個別で審査し、古物商を問題なく行うことができると判断されれば、古物許可申請を得られるようになります。

古物許可申請方法の変更点

1つ目に、誓約書の変更がありました。欠格事由を記してある書類で、それに該当していないことを誓約する書類ですので、欠格事由の部分が変更になったということです。すでに警察署のホームページでも変更がされていますが、念のため新しい誓約書か確認した上で記入しておきましょう。

また、これまでは、「成年被後見人若しくは被保佐人」ではないことを証明するために、法務局から「登記されていないことの証明書」を貰い、提出する必要がありました。今回の「成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律(整備法)」施工によって証明の必要性がなくなったため、「登記されていないことの証明」の提出は不要となります。

これまで、「登記されていないことの証明書」を貰うためにも住民票が必要だったことから、法務局と警察署とそれぞれに提出する必要がありましたが、住民票も警察署に提出する1枚のみが必要となります。

まとめ

成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律(整備法)」施工に伴い、欠格自由の1つである「成年被後見人若しくは被保佐人」が緩和されました。古物営業を行うに十分な判断力があるとみなされた場合に、古物許可申請を受けられるようになります。

これまで「成年被後見人若しくは被保佐人」に該当し古物許可申請を受けられなかった人や、引き継がせることを諦めていた人は、一度審査を行ってみてはいかがでしょうか。(許可を得られない場合にも申請料の19,000円は戻ってこないため注意が必要です)

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