【古物台帳の書き方】記載内容・データの管理方法

古物査定士認定協会

古物台帳は、古物の取引を記録しておく大切な帳簿で、一定の古物取引した際には、古物台帳に必ず記録しておかなければいけない情報があります。

記録が必要な取引を古物台帳に記載していなかった場合、「古物営業法」に従って、6か月以下の懲役または30万円の罰金、場合によっては両方という厳しい罰則が科せられます。今一度、記載内容などを確認していきましょう。

“第十七条 古物市場主は、その古物市場において売買され、又は交換される古物につき、取引の都度、前条第一号から第三号までに規定する事項並びに取引の当事者の住所及び氏名を帳簿等に記載をし、又は電磁的方法により記録をしておかなければならない”(古物営業法第17条)

古物台帳を記録する意義

古物商許可を取得して古物業者となった場合、法律の決まりにより古物に関する帳簿を用意しなければなりません。この帳簿のことを古物台帳といい、古物台帳は、最後に帳簿を記載した日から3年間は営業所において保管しておくという義務がありますので、必ず保管しましょう。

古物台帳とは

古物台帳とは、古物商が古物の取引結果を記録するための台帳です。台帳に記載し記録を残したからといって終わりではなく、いつでも過去の取引記録の内容が確認できる状態にしておく必要があります。また、古物台帳には、記載しなければならない内容が決められていますので、自己流(自分勝手な記入方法)での記載をすることはできません。

そして古物業者は、一定の古物取引をした場合には必ず古物台帳へ記帳しなければいけないという義務を負っています。なぜなら、「盗難品の流通を防止して犯罪組織に利用されないようにする」必要があり、さらには「被害の早期解決」に努めなければならないためです。

古物商にある三大義務とは

この二つの目的のために、古物業者は以下の3つの義務を負うものとされています。

  • 取引相手の本人確認の義務
  • 取引記録を古物台帳に記録する義務
  • 盗品を発見した場合は、速やかに警察に報告しなければならい義務

この古物商が負う3つの義務の中にある「古物台帳へ取引を記録する義務」というのがあります。

これは実際に盗品などが古物市場に流通してきた場合に、古物台帳に記載されている記録を基本に捜査が行われ、被害の早期解決を図らわれるために、盗品捜査や立ち入り検査の際には、古物台帳にしっかりと取引記録が記載されているかどうかチェックがなされます。

古物業者の取引は盗品が混じる可能性が他に比べてかなり高い事業と言えます。特に、古物を払い出し(売却等)をする時よりも、買い取り(仕入れ)をする場合に盗品の取引をする可能性が多くなるとされています。

万一盗品が混じってしまった場合に、警察は解決に向けて捜査を行っていきます。そのため警察が、盗品がどのようにして流通したのか経路を調べる際に、古物業者が古物の受け入れ(仕入れ)や払い出し(売却等)といった取引を記載して保管している古物台帳の情報の確認が必要となります。

一方で、犯罪組織が利用しづらい古物の場合や少額の古物取引の場合は、古物台帳に記載する義務が免除されることもあります。

古物台帳の記載内容・データの管理方法

古物商には、台帳の記録義務があることがわかったところで、具体的な記入内容等を確認いきましょう。

古物台帳の様式

古物台帳はどのような様式でも構わないというものではありません。古物台帳の様式は公安委員会で定められていますが、必要事項が記載されていれば、各自で作成した台帳を使用することが可能とされています。

自分で古物台帳を作成する際に、パソコンのエクセルなどのソフトウェアを使って作成することもできますので、オリジナルの古物台帳を作成しても構いません。

また、パソコンのエクセルなどを使って古物台帳を作成するのが面倒だとか、パソコンなどを使うのが苦手という方の場合は、都道府県の防犯協会(ほとんどの場合は警察署内にあります)で古物台帳を購入することができます。もし、分からない時は、最寄りの警察などへ問い合わせるのが良いでしょう。価格は概ね、3,200円程度のようです。

この古物台帳は、古物商許可の管理者である警察(公安委員会)が認めている台帳ですので安心して使用することができます。また、各自でオリジナルの古物台帳を作成した場合に、推奨する書き方が異なることもあるため、管轄の警察署で使用しても問題がないかを確認するようにしましょう。

古物台帳の書き方

古物台帳には、「受け入れ」と「払い出し」があった際には、決められた情報を古物台帳に記載して記録を残しておく必要があります。

古物台帳にある「受け入れ」と「払い出し」の項目ですが、記入の仕方がピンとこないという方は、受け入れは商業簿記でいう仕入れに当たりますので、古物を手に入れた場合に「受け入れ」に記入します。

逆に古物を売却などした場合には、売り上げに当たる「払い出し」に記入します。古物台帳に記載が必要な項目の「受け入れ」と「払い出し」は記入内容が異なりますので注意が必要です。

古物台帳の記入内容:古物台帳の受け入れ項目

古物台帳の内容は、「いつ」「誰から」「どのような古物をいくつくらい仕入れて」「受け入れた(仕入れた)際にどのようにして本人確認を行ったのか」が判る必要があります。

また、その仕入れた商品(古物)が「いつ」「誰に」「どのようにして払い出したか」といったことが一目で分かるように古物台帳に記入することが大切です。したがって、古物台帳の受け入れ項目に記載するべき事項は下記の項目です。

  • 取引をした年月日

取引をした年月日とは、古物を受け入れた(仕入れた)日付を記入します。

  • 区分(買受、委託、交換)

区分とは、古物を受け入れた(仕入れた)場合、「買い受けたモノなのか」「買取ではなく販売を委託されただけのモノなのか」「等価交換を希望するモノなのか」の3つの取引区分がありますので、受け取った古物の取引形態で一番近い取引形態を記入します。

  • 古物の品目や数量

古物の品目や数量ですが、受け入れた(仕入れた)古物の名称や内容、またどれくらいの数量を受け入れた(仕入れた)のかを記入します。

  • 古物の特徴

古物の特徴は、受け入れた(仕入れた)古物についての内容をできるだけ詳しく記載します。例えば、受け入れた古物のブランド名、製造番号、色、型式(年式)、状態(傷の有無や場所など)などを記入します。

  • 取引相手の氏名、住所、職業、年齢

取引を行った相手の情報を細かく記入します。氏名、住所、年齢、職業などできるだけ正しい情報を集めて記入しておきます。

  • 本人確認の方法

本人の確認の方法ですが、どのようにして取引相手の本人確認を行ったのか詳細に記入します。たとえば、運転免許証の番号や個人カードのマイナインバー、健康保険証の番号など本人を特定できるモノを記入します。しかし、社員証・学生証・名刺などは不可となっていますのでご注意ください。

古物台帳の記入内容:古物台帳の払い出し項目

古物台帳の払い出し項目に記載すべき項目は下記の項目です。

  • 取引の年月日

取引の年月日ですが、古物を払い出した(売却、返還など)日付を記入します。

  • 区分(売却、廃棄、自家使用、返還)

区分ですが、古物を払い出した場合、「古物を売却したのか」「古物を廃棄処分にしたのか」「古物を自分で使用(自家使用)したのか」「預かっていた古物の期限がきたので預かり先に返還したのか」の4つの取引区分の中から該当するものを記入します。

  • 取引相手の氏名、住所

取引相手の情報ですが、受け入れの場合と違い、払い出しの場合は、取引をする相手の氏名と住所が確認できればよいとされていますので、受け入れのように本人確認や詳細な情報は要らず、古物台帳に氏名と住所のみを記載すればよいとされています。

古物台帳をなくしてしまったら…

古物台帳は、最後の取引を記載した日から3年間は保存する義務があります。ですが、古物台帳をなくしてしまったり、データが消えてしまったりしてしまうこともあるようです。その場合に、速やかに所轄の警察署に届けてください。届け出ることを怠った場合に、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられます。

“第十八条 古物商又は古物市場主は、前二条の帳簿等を最終の記載をした日から三年間営業所若しくは古物市場に備え付け、又は前二条の電磁的方法による記録を当該記録をした日から三年間営業所若しくは古物市場において直ちに書面に表示することができるようにして保存しておかなければならない。

2 古物商又は古物市場主は、前二条の帳簿等又は電磁的方法による記録をき損し、若しくは亡失し、又はこれらが滅失したときは、直ちに営業所又は古物市場の所在地の所轄警察署長に届け出なければならない。“(古物営業法第18条2号)

古物台帳へ記載が必要な場合と不要な場合

次に、古物台帳の記入が必要なケースと不要なケースを確認しておきましょう。古物台帳へ記入が必要なケースは以下の通りです。

古物台帳へ記載が必要な場合

受け入れた(仕入れた)古物の対価の総額が1万円以上の場合は、どのようなものであっても全ての古物取引において古物台帳への記載義務が生じてきます。

払い出し(売却等)を行なった場合、受け入れとは違い、古物の対価の総額が1万円以上の時に記載が必要になるのは、時計・宝飾品類・美術品類・自動車・自動二輪車・原動機付き自転車(部品を含む)となっています。なお、自動車(部分品含む)の売却の際には、相手の住所、氏名などの記載は免除されます。

受け入れた(仕入れた)古物の対価の総額が1万円未満の場合は、自動二輪車・原動機付き自転車(ネジ・ボルト・ナット・コード以外の部品を含む)、書籍・ゲームソフト・CD・DVDなどは古物台帳への記録義務が発生します。

古物の払い出し(売却等)を行なった際は、古物の対価の総額が1万円未満の場合、自動二輪車・原動付き自転車(部品を除く)品目は古物台帳への記録義務があります。

このように、1万円未満の古物の受け入れ(仕入れ)であっても古物台帳への記録義務が生じます。1万円未満の古物の受け入れ(仕入れ)においては原則として古物台帳への記録は不要とされていますが、「窃盗被害の状況や古物市場への盗品の流通との関係」から「金額の大小に関わらず、受け入れた(仕入れた)時に、古物台帳への記録が必要な品目」が先程の品目となりますのでご注意ください。

古物台帳へ記載が不要な場合

受け入れた古物の対価が総額1万円未満の場合に、自動二輪車及び原動機付自転車(ねじ、ボルト、ナット、コード以外の部品を含む)、書籍、ゲームソフト、CD・DVDを除いた古物は台帳への記載が不要です。

古物の払い出しが1万円未満の場合に、自動二輪車及び原動機付自転車(ねじ、ボルト、ナット、コード以外の部品を含む)以外のものは体調への記載が不要です。

なお、合計1万円未満の場合に古物台帳への記入が不要のケースであっても、原則的に不要ということであり、例外の規定がありますので注意が必要になります。不安な場合に、各自治体に問い合わせるのが良いでしょう。

古物台帳の記入例

警視庁HP「古物商が記載する帳簿の様式」

まとめ

古物台帳は、警察署が品触れを出した際に、速やかに特定するために必要なものです。知らず違法行為をしないためにも、不安な場合には所轄の警察署へ確認しながら正しい知識をつけて古物台帳に記録し、失くさないよう努めましょう。

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