古物商の監査・立ち入り調査は何が行われる? 拒否の可否

古物商の監査・立ち入り調査は何が行われる? 拒否の可否

古物商は、警察署に申請をする事で許可を取得出来ます。また、何かしらの変更があった場合も警察に届けを出さなくてはなりませんし、古物営業法に違反すると警察から営業停止や許可取消等の処分が下されます。このように、古物商は警察との関わりが深いものです。

許可を取得した後も警察によって監査・立ち入り調査がある可能性は聞いたことがあるでしょう。警察の監査や立ち入り調査というと、どんな事が行われるのか不安に感じるかもしれませんが、あらかじめどんな事が行われるのか知り、心の準備をしておけば、何も恐れる必要はありません。

警察による監査・立ち入り調査の頻度

監査・立ち入り調査は、警察によって実際に行われています。ただし、古物営業をしていても一度も監査・調査を受けた事がないという古物商もいます。

監査・調査は何年に1回というように決まったものではありません。そのため人によっては、営業開始から何年も経過していても、一度も調査を受けたことがない……というケースも。

しかし、これまで受けた事がなくても、これから監査・調査を受ける可能性は古物商なら誰にでもあります。許可を取得したなら、いつ警察が来ても困らないようにきちんと対策をしておかなればいけません。

監査・立ち入り調査の目的

なぜ古物商は、警察からの監査・立ち入り調査の対象となっているのでしょうか。古物商の業務上、買い受けの際に盗難品が紛れ込むケースがあります。また、そうした盗難品等を放置しておくと古物商を介して売買され、市場へ流れ込んでしまう可能性もあるでしょう。

監査・立ち入り調査の目的は、こうした窃盗を中心とした犯罪を防止すること、事件の迅速な回復を目指す事です。

立ち入り調査が実施される場所

立ち入り調査が行われるのは、営業所・仮設店舗、古物市場主が運営する古物市場の他に古物が保管されている場所等です。原則として、立ち入り調査は営業時間内に行われます。

第二十二条 警察職員は、必要があると認めるときは、営業時間中において、古物商の営業所若しくは仮設店舗、古物の保管場所、古物市場又は第十条第一項の競り売り(同条第三項及び第四項に規定する場合を除く。)の場所に立ち入り、古物及び帳簿等(第十八条第一項に規定する書面で同項の記録が表示されたものを含む。第三十五条第三号において同じ。)を検査し、関係者に質問することができる。(古物営業法第22条)

調査前の連絡の有無

基本的に事前連絡はないと考えた方が良いですが、調査の前に電話等がくるケースもあるようです。

監査・立ち入り調査で行われる内容

立ち入り調査での主な確認事項は以下の通りです。

古物商プレートの確認

古物商の義務として営業所の見える場所に必ず古物商プレートを掲示すると決められています。監査・立ち入り調査では、古物商プレートが店舗のどこに掲示されているのか確認が行われるケースが多いです。

また、同時に古物商プレートが決められた様式で作成されているかどうかも、チェックされるでしょう。

古物商プレートは、縦8×横16cm、金属・プラスチックもしくは、これらと同等の耐久性がある材質で色は紺に文字は白と決まっています。そしてプレートには、主として取り扱う品目、氏名or名称を記載しなければいけません。

古物商プレートが掲示されていないだけではなく、様式に従っていないプレートや分かりにくい場所に掲示されている場合は改善等の指示が出されるでしょう。

第十二条 古物商又は古物市場主は、それぞれ営業所若しくは仮設店舗又は古物市場ごとに、公衆の見やすい場所に、国家公安委員会規則で定める様式の標識を掲示しなければならない。(古物営業法第12条)

帳簿を保管してあるかの確認

古物商は、営業所に古物台帳を備え付けて保管しておかなくてはいけません。そのため、警察は立ち入り調査の際に営業所に帳簿が備え付けられているか確認します。古物台帳は、最終の記載から3年間は保管しておく必要があります。

もし無くしてしまったなら、立ち入り調査が入るまで放っておくのではなく、すぐその場で所轄の警察署長に届け出ましょう。

第十八条 古物商又は古物市場主は、前二条の帳簿等を最終の記載をした日から三年間営業所若しくは古物市場に備え付け、又は前二条の電磁的方法による記録を当該記録をした日から三年間営業所若しくは古物市場において直ちに書面に表示することができるようにして保存しておかなければならない。
2 古物商又は古物市場主は、前二条の帳簿等又は電磁的方法による記録をき損し、若しくは亡失し、又はこれらが滅失したときは、直ちに営業所又は古物市場の所在地の所轄警察署長に届け出なければならない。

帳簿の内容の確認

警察の監査・立ち入り調査で最も重視されるのは、帳簿の確認です。古物商には、古物の買い受け・引き渡しをした際には、その取引内容について古物台帳に記録しておかなければいけません。ただ営業所に備え付けていれば良い訳ではないため、その内容も確認されます。

帳面でもエクセルのような電子記録でも構いませんが、法律で定められた様式に従います。記載する内容は決められており、取引年月日や古物の品目に数量、特徴の他に取引相手の情報が必要です。また、取引相手の個人情報の確認方法も記載します。

警察は帳簿をきちんと記載しているかだけではなく、様式を守っているかどうかも確認します。例えば、取引相手の個人情報の確認も決められた方法があります。正しい方法で確認しているかどうかが重要です。

▶︎帳簿の書き方はこちらで解説しています。

第十六条 古物商は、売買若しくは交換のため、又は売買若しくは交換の委託により、古物を受け取り、又は引き渡したときは、その都度、次に掲げる事項を、帳簿若しくは国家公安委員会規則で定めるこれに準ずる書類(以下「帳簿等」という。)に記載をし、又は電磁的方法により記録をしておかなければならない。ただし、前条第二項各号に掲げる場合及び当該記載又は記録の必要のないものとして国家公安委員会規則で定める古物を引き渡した場合は、この限りでない。

一 取引の年月日
二 古物の品目及び数量
三 古物の特徴
四 相手方(国家公安委員会規則で定める古物を引き渡した相手方を除く。)の住所、氏名、職業及び年齢
五 前条第一項の規定によりとつた措置の区分(同項第一号及び第四号に掲げる措置にあつては、その区分及び方法)(古物営業法第16条)

古物商の帳簿は、盗難防止・事件の早期解決に欠かせません。そこにある記録から、事件を未然に防いだり解決へと繋げていく事が可能となるからです。

そのため、警察が古物商の元へ監査・立ち入り調査に入る時は、必ずこの帳簿の確認が行われると思って間違いありません。求められれば、書面にて表示しなくてはいけないため、いつ警察が来て提出を求められても直ぐに応じられるように日頃から整理しておくべきです。古物営業法では、拒否する事で10万円以下の罰金に処する規定がされています。

第三十五条 次の各号のいずれかに該当する者は、十万円以下の罰金に処する。

一 第七条第一項、第二項若しくは第四項若しくは第十条の二第二項の規定に違反して届出書若しくは添付書類を提出せず、又は第七条第一項、第二項若しくは第四項若しくは第十条の二第二項の届出書若しくは添付書類に虚偽の記載をして提出した者
二 第八条第一項、第十一条第一項若しくは第二項又は第十二条の規定に違反した者
三 第二十二条第一項の規定による立入り又は帳簿等の検査を拒み、妨げ、又は忌避した者
四 第二十二条第三項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者(古物営業法第35条)

経営者、従業員への聞き取り調査

店舗の経営者や従業員への聞き取り調査も行われます。

本人確認はどんな手段でしているのか

聞き取り調査が行われる場合に高確率で聞かれるのが、本人確認の手段です。古物商は買取りの際に相手の本人確認が義務づけられています。そして、その確認方法にも法で決められたルールがあります。

どんな方法で本人確認をしているのか聞かれた際に、はっきりと答えられるようにしておきましょう。ルールに沿っていない確認の仕方をしていると、警察から注意されるケースもあります。

▶︎古物商人が誤りがちな日対面方式の本人確認方法はこちらで解説しています。

仕入れや取引の方法

古物の仕入れルートやどんな方法で販売を行っているのか、古物営業の取引方法を聞かれることもあります。「主に古物市場で仕入れ、オークションサイトで販売をしている」といったように、主となる取引方法を説明出来れば問題ないでしょう。

扱っている品物について

古物商は、ひとつの営業所で多数のジャンルを取り扱っている事が多いでしょう。どんな古物を扱っているのかを立ち入り調査で聞かれることもあります。特別、詳しく説明する必要はなく、取引数や売上の多いジャンルを答えると良いでしょう。

不正品の申告について

古物商には、盗難品等の不正品について警察に申告する義務があります。その義務を守っているかどうかの確認が立ち入り調査の際に行われることもあります。申告の義務を果たしている、もしくはそういった事案が一度もない場合はそのまま伝えるだけで構いません。

▶︎品触れが発せられた場合・盗品が見つかった場合の対応方法はこちらで解説しています。

3 古物商又は古物市場主は、管理者に、取り扱う古物が不正品であるかどうかを判断するために必要なものとして国家公安委員会規則で定める知識、技術又は経験を得させるよう努めなければならない。(古物営業法第13条第3項)

3 古物商は、古物を買い受け、若しくは交換し、又は売却若しくは交換の委託を受けようとする場合において、当該古物について不正品の疑いがあると認めるときは、直ちに、警察官にその旨を申告しなければならない。(古物営業法第15条第3項)

変更届けについて

古物商は、住所や名称、代表者等が変わった場合には、所轄警察署へ変更届けを出す必要があります。そのため、こうした義務が守られているかどうかを確認されることもあります。

第七条 古物商又は古物市場主は、第五条第一項第二号に掲げる事項を変更しようとするときは、あらかじめ、主たる営業所又は古物市場の所在地を管轄する公安委員会(公安委員会の管轄区域を異にして主たる営業所又は古物市場の所在地を変更しようとするときは、その変更後の主たる営業所又は古物市場の所在地を管轄する公安委員会)に、国家公安委員会規則で定める事項を記載した届出書を提出しなければならない。(古物営業法第7条)

監査・立ち入り調査における経営者や従業員への聞き取り内容は、実際のところ訪問する警察によって異なります。多くの場合では、聞き取りに掛ける時間は、およそ10分程度です。詳細な内容を突っ込んで聞かれる心配はほとんどありません。

ただし、古物台帳に正しく記載がない場合などは、より詳しく事情を聞かれる事になるでしょう。反面、古物商プレートがきちんと掲示してあり、台帳にも問題がなければ聞き取りは簡単に終わる事がほとんどです。

ですから、日頃からルールを守って古物営業をしていれば、警察の監査・聞き込み調査について決して不安がる必要はありません。

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