古物商が注意したいワシントン条約とは? 書類送検の危険性

古物商が注意したいワシントン条約とは? 書類送検の危険性

古物商と「絶滅の恐れのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」(ワシントン条約)は深い関わりがあります。そればかりか、ワシントン条約を補完するために日本で定められた「種の保存法」も注意する必要があります。

ときには、知らずに違法行為をしてしまうこともあり得ます。ワシントン条約の概略や、古物商とどのような関わりがあるのかについて整理していきましょう。

古物商と深い関わりがあるワシントン条約とは?

古物商が安全に取引をおこなうために注意したい法律の中に、「ワシントン条約」と呼ばれるものが存在します。ワシントン条約の正式な名称は、「絶滅の恐れのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」となります。

ワシントン条約が存在する理由

地球上では、現在でも1年に約4万種もの生物が絶滅していると言われています。それは、環境破壊だけではなく、人類が毛皮などに利用する目的で過剰に乱獲した結果も含まれています。このような植物を含めた生物の絶滅を防ぐ目的で成立した国際条約が、ワシントン条約になります。

この条約では、絶滅の恐れがあり保護が必要とされる生物を三段階に区分し、必要に応じて商業目的による国際間の取引を規制しています。そして、商業目的の取引に規制をかけることによって、絶滅危機に瀕している生物の乱獲に歯止めをかけることに努めています。

種の存続が危ぶまれる生物を保護するには、世界各国で商業目的の取引に規制をかけ、協力をしていく必要があるでしょう。

条約成立当初は81ヶ国だった加盟国も、現在は183ヶ国にまで広がりを見せており、この条約が世界で重要視されていることがわかります。日本は1973年にワシントン条約に署名した後、1980年に条約が締結し、その年の11月から発行されることになりました。

ワシントン条約の内容

動植物の絶滅の危険性レベルに応じて、規制さている内容が異なっているのが特徴です。リストアップの対象となっている生物は、附属書IからIIIのグループに別れており、附属書Iに分類されているのが最も絶滅の危険性が高いグループです。

附属書I

このグループに属する生物は、ウミガメ・アジアゾウ・シロナガスクジラなど約1000種類の動植物です。附属書Iにリストアップされている場合、加工品であっても商業目的での取引は禁止されています。

附属書II

附属書IIにはキングコブラやニシキヘビ、ニホンザルなどが分類されています。これらの生物は、ただちに絶滅の危険性があるわけではなないものの、取引の規制をおこなわなければ、いずれ絶滅の可能性が高い動植物たちです。

このグループは、輸出国の政府から輸出許可書を発行して貰わなければ輸入できません。しかし、条件さえ満たせば商業目的での国際取引も可能です。国内に輸入したい場合は、税関に対して産業大臣による事前確認書を提出しなければいけません。

附属書III

附属書IIIのグループは、条約の締結国が自国の動植物を保護するために、他国の協力を必要とすると認められた動植物が分類されています。附属書IIのグループと同じく商業目的での取引も条約によって可能となります。輸出国政府の発行する輸出許可書又は原産地証明書等があれば可能です。

古物商は何故ワシントン条約に注意する必要があるのか

古物を取り扱う古物商にとって、絶滅危惧種を保護するという趣旨のワシントン条約は関係ないとと思ってしまう人もいるかもしれません。しかし、ワシントン条約によって取引が規制されるのは生きた動物や植物に限りません。附属書にリストアップされている動植物を利用した加工品なども、規制の対象となるケースがあるため、古物商と深く関わりがあるのです。

例えば、剥製や毛皮、皮を用いたバッグなどもワシントン条約に抵触することがあります。ブランド品や財布、バッグといったファッション雑貨を取り扱う古物商も少なくないはずです。それらの商品に、ワシントン条約の附属書にリストアップされた生物の加工品がないとは限りません。

また、アンティーク家具や楽器などを扱う場合には、木材にも注意する必要があります。ローズウッドなど規制対象の材が使われていることは少なくありません。海外へ輸出入をする場合には、どのような木材が使われているか確認する必要性が生じてきます。

故意に違反するだけではなく、手続きの必要がないと思いこんで輸入・輸出をしてしまう古物商も少なくなくありません。そのため古物商にとっても注意が必要というわけです。

ワシントン条約をきっかけとした種の保存法にも注意

ワシントン条約を補完するために、日本の法律「種の保存法」が成立しています。ワシントン条約は、国際間の取引に関する規制ですが、種の保存法ではワシントン条約の附属書Iにリストアップされている種の国内取引も規制の対象としています。

例えば、古物商に関連性の深い代表的な物として、象牙があります。象牙は印鑑やアクセサリー、仏像などの加工品として出回っており、その数は決して少なくありません。

現在、ワシントン条約により象牙の国際取引は禁止となっており、海外から象牙及び加工品を輸入することはできません。しかし、ワシントン条約により国際取引が禁止される1989年以前に入ってきた象牙が、いまだに市場に流通しています。流通しているためもちろん、1989年以前に輸入された象牙を使った商品の売買は、今でも国内では禁止されていません。

そのため、古物商でも象牙の商品を取り扱うケースがあるでしょう。ですが、種の保存法に則り、全形牙の場合は環境省全形牙登録をおこなわなければなりません。登録をおこなうと、登録票が発行され正当な取引だということの証明になります。

加工品の場合は、特別国際種事業の登録届けが必要です。無登録で象牙を扱った場合などは、懲役や罰金などの刑罰に処されてしまうので注意しなくてはいけません。

古物商の中には、象牙の取引に登録が必要だということを知らなかったり、そもそも象牙が使われていることを知らずに取引をおこなってしまうケースもあります。実際、無登録の象牙を取引した容疑で古物商が書類送検された事例もあるのです。

きちんと古物商の許可を取得していても、ワシントン条約で象牙に関する規制が締結される前に輸入された品であっても、登録は必須だと覚えておきましょう。このように古物商を営むのであれば、ワシントン条約と合わせて、国内の規制法となる種の保存法も合わせて考えなければいけません。

まとめ

古物商人は、古物商の許可だけを得ていれば良いとは限りません。産業廃棄物や古酒、海外の美容品など、様々な場面でそのほかの資格が必要になることがあります。また、場合によっては古物商でも取引できない事例が存在します。

知らず法律違反をしてしまわないように、自分が扱う予定の商品・品目について十分な知識を身につけた上で営業する必要があります。

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