新品を転売するときに古物商許可は必要? 警視庁の見解

安く購入・仕入れをして高く売ることで利益を出すビジネスを始めるなら、古物商の許可を申請しておきましょう。

よく論点に上がるのは、販売予定の商材が新品の場合について。古物営業法では、古物商許可が必要なのは同法で定める古物に当てはまる物を売買する場合であり、新品は該当しません。しかし、古物営業法上で定義されている新品とは、どこまでを指しているのでしょうか。

一般的には新品と言われるアイテムだとしても、古物営業法では「古物」に分類されるケースもあります。そのため、販売する商材が新品で購入したものだからといって、許可の申請が必要ないとは言い切れません。

また、同じ物を転売するケースでも売却までの過程によって申請が必要なケースもあれば、いらないケースもあります。良く知らないままにビジネスとして始めると、気が付かずに法律に違反していた……なんていう事になる可能性もあります。そうならないよう十分に注意をしましょう。

古物商はどんな時に必要?

そもそも古物商は、どんな時に申請しなければいけない許可なのでしょうか。実は古物を扱うからといって、必ずしも許可を取得しなければいけないわけではありません。

許可を申請しなければいけないのは、ビジネス・営業として「古物を売買する」「古物を交換する」といった行為です。該当する取引行為には、売買・交換の委託も含まれます。上記の取引行為に該当する場合は、許可の申請を行いましょう。

2 この法律において「古物営業」とは、次に掲げる営業をいう。
一 古物を売買し、若しくは交換し、又は委託を受けて売買し、若しくは交換する営業であつて、古物を売却すること又は自己が売却した物品を当該売却の相手方から買い受けることのみを行うもの以外のもの
二 古物市場(古物商間の古物の売買又は交換のための市場をいう。以下同じ。)を経営する営業
三 古物の売買をしようとする者のあつせんを競りの方法(政令で定める電子情報処理組織を使用する競りの方法その他の政令で定めるものに限る。)により行う営業(前号に掲げるものを除く。以下「古物競りあつせん業」という。)(古物営業法2条2項)

なお、2022年8月に警視庁へ問い合わせた際の回答によれば、「売るだけ」「買うだけ」であっても、営利目的であれば古物商許可は必要とのことでした。

新品であっても古物商の許可が必要なケースもある

上記で説明した通り、許可の必要があるのは、古物を対象とした取引であるとわかります。ですから、新品を販売するなら許可は不要と言えます。

ですが、中には一般的には新品の物であっても「古物」に該当するケースがあります。具体的な例を見ていきましょう。

オークション・フリマサイトで新品を仕入れる際は古物扱い

商品の仕入れ先として、近年利用者が増加しているフリマアプリやオークションを利用する人も多くなっています。基本的にフリマ、オークションサイトに出品されているものは、一度人に使用された不用品などです。

とはいっても、中には新品の一度も使われていないアイテムが出品されていることも少なくありません。

ここで転売する為に、新品・未使用品をサイトから購入したとしましょう。そこに利益をプラスして、別の経路で販売する想定です。このような場合、仕入れた商品は新品となるので「古物の売買」には該当せず、許可は不要だと考えていませんか。

ですが、古物営業法によるとフリマやオークションに出品されている品物は、新品未使用でも人の手に渡った古物に該当します。まず、そもそもこの法律で定められている古物とは「一度使用された物」だけではなく「未使用品であっても使用する為に取引された物」も該当しています。

ですから、上記のようにフリマ・オークションサイトて新品・未使用品となっているアイテムでも出品者が一度手にした時点で「使う為に取引された物」です。つまり、古物営業法上での古物に該当します。

ですから、このような方法で仕入れを行い売却をする行為は「古物の売買」にあてはまり、古物商許可を申請しなければいけません。

警視庁によればメーカーが販売しないならすべて古物

個人から購入した場合に、古物商許可が必要なことがわかりました。では、メーカーが販売していたものを購入する場合はどうでしょうか。

2022年8月に警視庁へ問い合わせた時点の回答では、「メーカーが販売しているわけではないのであれば、ビジネス目的で売買している時点で古物商許可が必要です」とのことでした。メーカーのような卸業者、問屋、そしてデパートやディスカウントショップなどの小売り業者は古物商許可が不要ということです。

一方、メーカーから購入した時点で、新品とは見なされないと受け取ることができます。「メーカーとして仕入れる」というケースに該当する人は少ないため、営利目的であれば原則新品に見えるようなものであっても、古物商許可が必要と言えます。

第二条 この法律において「古物」とは、一度使用された物品(鑑賞的美術品及び商品券、乗車券、郵便切手その他政令で定めるこれらに類する証票その他の物を含み、大型機械類(船舶、航空機、工作機械その他これらに類する物をいう。)で政令で定めるものを除く。以下同じ。)若しくは使用されない物品で使用のために取引されたもの又はこれらの物品に幾分の手入れをしたものをいう。(古物営業法第2条)

古物商許可が不要なケースは?

では、新品未使用品を仕入れても転売をする際には、古物商が必要なのでしょうか。

13品目に該当しない場合

新品を転売する場合でも、古物商が必要なケースがあると説明しました。ですが、そのようなケースにあてはまる場合でも、古物営業法で定められた13品目に分類されないジャンルのアイテムなら許可は不要です。例えば化粧品や香水、お酒は、古物に該当しません。

フリマアプリで新品未使用の香水を仕入れ、転売する時は申請しなくても問題ありません。しかし、中には古物商許可以外の許可や資格が必要なケースもあるため、販売したい場合には確認しましょう。

ビジネスとして行わない場合

新品の転売で古物商の許可を申請しなければいけないケースでも、ビジネスとして行わない場合は、許可はい離ません。例えば、人から新品を貰って使っていないアイテム、使おうと思ったものの使っていない未使用品を処分する目的で販売をした場合は、許可はいりません。

たまたま売りたいと思っていたものが人気のある商品で、購入した価格より高い値段で売れた場合であっても、一度限りならビジネスとして見なされない可能性が高いです。

古物商が必要となるのは、ビジネスとして行う場合のみです。しかし、ビジネスで行っているかどうかは警視庁などが決めるため、「ビジネス目的ではありません」と自ら言い張ることはできません。

ただし、仕事として見なされるラインは、明確に決まっていないため注意してください。自分では仕事ではなく趣味の範囲で行っていると思っていても、業として判断されてしまうと許可の申請を求められます。

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