【古物商に多い誤解】非対面取引の本人確認方法と法的根拠

【古物商に多い誤解】非対面取引の本人確認方法と法的根拠

2018年の法改正により、非対面取引における本人確認方法が確立されました。一方で、古物商人の間で周知されておらず、誤った取引をおこなっている事例が多く散見されます。改めて、非対面取引での本人確認方法を古物営業法(法的根拠)に則って確認していきましょう。

1.電子署名を行ったメールの送信を受ける

相手から電子証明をしてもらい、その内容をメールを受信する方法です。電子署名に関する法律として、「電子署名及び認証業務に関する法律の施行(電子署名法)」があります。

引用:警視庁

三 相手方からその住所、氏名、職業及び年齢の電磁的方法(電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によつて認識することができない方法をいう。以下同じ。)による記録であつて、これらの情報についてその者による電子署名(電子署名及び認証業務に関する法律(平成十二年法律第百二号)第二条第一項に規定する電子署名をいい、当該電子署名について同法第四条第一項又は第十五条第一項の認定を受けた者により同法第二条第二項に規定する証明がされるものに限る。)が行われているものの提供を受けること。(古物営業法第15条第1項第3号)

2.印鑑登録証明書・印鑑を押した署名の送付を受ける

相手から住所、氏名、職業、年齢の申し出を受けた上で、(品物と一緒に)捺印した申込書などの書類と印鑑登録書を送付してもらう方法です。なお、本人確認全般に言えることですが、住民票の写しを受け取る場合には、必ずマイナンバーの記載がないものを指定します。

一 相手方から、その住所、氏名、職業及び年齢の申出を受けるとともに、その印鑑登録証明書及び当該印鑑登録証明書に係る印鑑を押印した書面の送付を受けること。(古物営業法施工規則第15条第3項第1号)

3.本人限定受取郵便等の到着確認

相手から住所、氏名、職業、年齢の申し出を受けた上で、申込書などの送付を受けたのち、相手に対して本人限定受取郵便や、信書便事業者が身分証明書等の提示を受けて本人確認を行った上で配達する信書郵物により、見積書などの書類を送付。本人から受け取った旨を確認する方法です。本人限定受取郵便による本人確認の場合に、規定の郵便方法でなければならず、受け取りの確認方法は以下となっています。

  • 送付した本人限定受取郵便物等を古物と同封させ返送
  • 本人限定受取郵便物等により受付票等を送付。受付票等を古物と同封させ返送
  • 本人限定受取郵便物等に受付番号を記載し送付。当該受付番号等を相手方から電話、電子メール等により連絡させる
  • 本人限定受取郵便物等で往復葉書を送付し、その返信部を相手に送付させる
  • 本人限定受取郵便物等で梱包材を送付し、その梱包材に梱包して古物を送付させる

二 相手方からその住所、氏名、職業及び年齢の申出を受け、並びにその者に対して、本人限定受取郵便物等(名あて人本人若しくは差出人の指定した名あて人に代わって受け取ることができる者に限り交付する取扱いをされる郵便物又は民間事業者による信書の送達に関する法律(平成十四年法律第九十九号)第二条第六項に規定する一般信書便事業者若しくは同条第九項に規定する特定信書便事業者が送達する同条第三項に規定する信書便物(以下「信書便物」という。)をいう。以下同じ。)を送付し、かつ、その到達を確かめること。(古物営業法施工規則第15条第3項第2号)

4.本人限定受取郵便等で契約

相手から住所、氏名、職業、年齢の情報の申し出を受けた上で、本人限定受取郵便や信書便事業者が身分証明書等の提示を受けて本人確認を行った上で配達する信書郵物により、現金書留で代金をもらうなどの方法です。実際に支払いが行われる前提であるため、合意内容と異なる契約になる場合には、改めて売主の真偽を確認する必要があります。

三 相手方からその住所、氏名、職業及び年齢の申出を受け、並びにその者に対して金品を内容とする本人限定受取郵便物等を送付する方法により当該古物の代金を支払うことを約すること。(古物営業法施工規則第15条第3項第3号)

5.本人確認書類受け簡易書留等を未転送で送付・到着確認

相手から住所、氏名、職業、年齢の情報の申し出を受けた上で、転送しない扱いで簡易書留で見積書などを送り、本人から受け取った旨を確認する方法です。なお、5〜7まで、古物営業法施工規則第15条第3項第4号に記載されている内容です。

6.画像送信を受け簡易書留を未転送で送付・到着確認

相手から住所、氏名、職業、年齢の申し出を受けた上で、古物商が提供するソフトウェア(開発者は古物商でなくとも良い)を用いて、本人確認の情報を得て、転送しない扱いで簡易書留で見積書などを送り、本人から受け取った旨を確認する方法です。

最近は容易に画像加工が可能で、偽装しようと思えばできてしまいますから、画像加工が可能であるものや、あらかじめ撮影された画像では本人確認が不可能ですが、リアルタイムのビデオ通話等も本人確認として使用可能です。また、厚み等がわかるよう、本人確認書類は表面と裏面を厚みがわかるような方法で撮影してもらう必要があります。ただし、マイナンバーは個人番号を取得してしまうことから、裏面の送信を受けてはなりません。

7.ICチップ情報の送信を受け簡易書留を未転送で送付・到着確認

相手から住所、氏名、職業、年齢の申し出を受けた上で、秘密鍵で暗号化されているICチップ情報に関わる事項の送信を受け、公開鍵で複合することにより本人確認を行う方法です。

四 相手方からその住所、氏名、職業及び年齢の申出を受けるとともにその住民票の写し、住民票の記載事項証明書、戸籍の謄本若しくは抄本又は印鑑登録証明書の送付を受け、又は当該相手方の身分証明書等に組み込まれた当該半導体集積回路に記録された当該情報若しくは本人確認用画像情報の送信を受け、並びに当該住民票の写し等に記載され、又は当該情報に記録された当該相手方の住所に宛てて転送をしない取扱いをされるものを送付し、かつ、その到達を確かめること。(古物営業法施工規則第15条第3項第4号)

※長文につき一部定義等を割愛しております。詳細は「古物営業法施工規則」まで。

8.本人確認書類受け簡易書留等を未転送で送付・到着確認

相手から住所、氏名、職業、年齢の申し出を受けた上で、運転免許証、国民健康保険被保険者証等の身分証明書のコピー2つもしくは、これらの身分証明書のコピー1つと公共料金領収書(領収印や発行年がわかり、送付を受ける日から見て6ヶ月以内のもの)等の送付を受けて、転送しない扱いで簡易書留で見積書などを送り、本人から受け取った旨を確認する方法です。

身分証明書のコピー1つと公共料金領収書等で本人確認を行うケースとして、身分証明書が1つしかないケースや、住所が一致しておらず本人確認が身分証明書でできないケースなどが想定できます。

五 相手方からその住所、氏名、職業及び年齢の申出を受けるとともにその身分証明書等若しくは住民票の写し等のいずれか二の書類の写しの送付を受け、又は当該相手方の身分証明書等若しくは住民票の写し等の写し及び当該相手方の住所が記載された次に掲げる書類のいずれか若しくはその写しの送付を受け、並びに当該相手方の身分証明書等若しくは住民票の写し等の写し又は当該補完書類若しくはその写しに記載された当該相手方の住所に宛てて配達記録郵便物等で転送をしない取扱いをされるものを送付し、かつ、その到達を確かめること。……(古物営業法施工規則第15条第3項第5号)

9.本人確認書類の送付を受け本人名義の口座に代金を入金

相手から住所、氏名、職業、年齢の情報の申し出を受けた上で、本人確認書類と品物を送ってもらったのち、本人確認書類に記載がある名前と同じ口座に代金を振り込む方法です。法人の場合に、登記事項証明書及び取引担当者が法人の取引を担当している旨を記載した委任状等をもらい、法人名義の口座に振り込むことも可能です。仮に、口座振込依頼書に振替先の預貯金口座等の名義まで記載されていない場合には、該当の金融機関に問い合わせて名義を把握する必要があります。

引用:警視庁

六 相手方からその住所、氏名、職業及び年齢の申出を受けるとともにその住民票の写し等の送付を受け、並びに当該住民票の写し等に記載されたその者の氏名を名義人の氏名とする預貯金口座への振込み又は振替の方法により当該古物の代金を支払うことを約すること。(古物営業法施工規則第15条第3項第6号)

10.本人確認書類の送付を受け簡易書留を未転送で送付、到着確認、本人名義の預貯金に入金

相手から住所、氏名、職業、年齢の情報の申し出を受けた上で、本人確認書類と品物を送ってもらったのち、見積書などを転送しない扱いで簡易書留で送り、本人から受け取った旨を確認。本人確認書類に記載がある名前と同じ口座に代金を振り込む方法です。ただし、配送方法として、配達した相手先に届けて、受領印をもらい、配達記録が残るものであれば他のサービスでも可能です。(営業所留め、集合ポスト、別の住所に届ける、特定記録郵便などは対象外)

引用:警視庁

七 相手方からその住所、氏名、職業及び年齢の申出を受けるとともにその身分証明書等の写し(明瞭に表示されたものに限る。)の送付を受け、当該身分証明書等の写しに記載されたその者の住所に宛てて配達記録郵便物等で転送をしない取扱いをされるものを送付し、かつ、その到達を確かめ、並びに当該身分証明書等の写しに記載されたその者の氏名を名義人の氏名とする預貯金口座への振込み又は振替の方法により当該古物の代金を支払うことを約すること(当該古物に係る法第十六条の帳簿等又は電磁的方法による記録とともに当該身分証明書等の写しを保存する場合に限る。)(古物営業法施工規則第15条第3項第7号)

11.容貌を撮影した画像・本人確認書類の画像送信を受ける

相手から住所、氏名、職業、年齢の情報の申し出を受けた上で、古物商が提供するソフトウェア(開発者は古物商でなくとも良い)を用いて、本人の容貌を撮影した画像を得るとともに、本人確認書類の画像の送信を受ける方法です。

6.と同様に、画像加工が可能であるものや、あらかじめ撮影された画像では本人確認が不可能ですが、リアルタイムのビデオ通話等も本人確認として使用可能です。また、厚み等がわかるよう、本人確認書類は表面と裏面を厚みがわかるような方法で撮影してもらう必要があります。ただし、マイナンバーは個人番号を取得してしまうことから、裏面の送信を受けてはなりません。

八 相手方からその住所、氏名、職業及び年齢の申出を受けるとともに、当該古物商が提供するソフトウェアを使用して、本人確認用画像情報(当該相手方に当該ソフトウェアを使用して撮影をさせた当該相手方の容貌及び身分証明書等(当該相手方の写真が貼り付けられたものに限る。以下この号及び次号において「写真付き身分証明書等」という。)の画像情報であって、当該写真付き身分証明書等に係る画像情報が、当該写真付き身分証明書等に記載された住所、氏名及び年齢又は生年月日、当該写真付き身分証明書等に貼り付けられた写真並びに当該写真付き身分証明書等の厚みその他の特徴を確認することができるものをいう。)の送信を受けること(当該古物に係る法第十六条の帳簿等又は電磁的方法による記録とともに当該本人確認用画像情報(当該相手方の容貌の画像情報を除く。)を保存する場合に限る。)(古物営業法施工規則第15条第3項第8号)

12.容貌を撮影した画像・ICチップ情報の送信を受ける

相手から住所、氏名、職業、年齢の情報の申し出を受けた上で、古物商が提供するソフトウェア(開発者は古物商でなくとも良い)を用いて、本人の容貌を撮影した画像を得るとともに、秘密鍵で暗号化されているICチップ情報に関わる事項の送信を受け、公開鍵で複合することにより本人確認を行う方法です。

6.11.と同様に、画像加工が可能であるものや、あらかじめ撮影された画像では本人確認が不可能ですが、リアルタイムのビデオ通話等も本人確認として使用可能です。また、厚み等がわかるよう、本人確認書類は表面と裏面を厚みがわかるような方法で撮影してもらう必要があります。ただし、マイナンバーは個人番号を取得してしまうことから、裏面の送信を受けてはなりません。

九 相手方からその住所、氏名、職業及び年齢の申出を受けるとともに、当該古物商が提供するソフトウェアを使用して、本人確認用画像情報(当該相手方に当該ソフトウェアを使用して撮影をさせた当該相手方の容貌の画像情報をいう。)の送信を受け、並びに当該相手方から当該相手方の写真付き身分証明書等(住所、氏名、年齢又は生年月日及び写真の情報が記録された半導体集積回路が組み込まれたものに限る。)に組み込まれた当該半導体集積回路に記録された当該情報の送信を受けること。古物営業法施工規則第15条第3項第9号)

13.所定機関が発行した電磁的記録の提供を受ける

地方公共団体情報システム機構が発行した電子証明書と電子署名を行った住所、氏名、職業及び年齢に係る電磁的記録の提供を受ける方法です。なお、この方法で本人確認ができる古物商は、総務大臣が認定した署名検証者に限定されています。

  • システム上電子証明書の有効性を確認
  • 電子証明書の公開鍵で電子署名を複合し、申請書と照合
  • 電子証明書の氏名等と申請書の氏名等を目視で確認

十一 相手方から、電子署名等に係る地方公共団体情報システム機構の認証業務に関する法律(平成十四年法律第百五十三号。以下この号及び次号において「公的個人認証法」という。)第三条第六項の規定に基づき地方公共団体情報システム機構が発行した署名用電子証明書並びに公的個人認証法第二条第一項に規定する電子署名が行われた当該相手方の住所、氏名、職業及び年齢の電磁的方法による記録の提供を受けること(当該古物商が公的個人認証法第十七条第四項に規定する署名検証者である場合に限る。)(古物営業法施工規則第15条第3項第11号)

14.署名検証者が発行した電磁的記録の提供を受ける

特定認証業務を行う署名検証者が発行した電子証明書と電子署名を行った住所、氏名、職業及び年齢に係る電磁的記録の提供を受ける方法です。

十二 相手方から、公的個人認証法第十七条第一項第五号に掲げる総務大臣の認定を受けた者であって、同条第四項に規定する署名検証者である者が発行し、かつ、当該認定を受けた者が行う特定認証業務(電子署名及び認証業務に関する法律(平成十二年法律第百二号。以下この号において「電子署名法」という。)第二条第三項に規定する特定認証業務をいう。)の用に供する電子証明書(当該相手方に係る利用者(電子署名法第二条第二項に規定する利用者をいう。)の真偽の確認が、電子署名及び認証業務に関する法律施行規則(平成十三年総務省・法務省・経済産業省令第二号)第五条第一項各号に規定する方法により行われて発行されるものに限る。)並びに電子署名法第二条第一項に規定する電子署名が行われた当該相手方の住所、氏名、職業及び年齢の電磁的方法による記録の提供を受けること。(古物営業法施工規則第15条第3項第12号)

15.IDのパスワードの送信などで本人確認が可能なこと

第3者がなりすますのが困難な形でIDとパスワードを付与し、相手がログインし本人確認する方法です。メールや申込書に発行した会員番号、パスワードの記載だけでは本人確認となりません。これまで、1〜14の方法で本人確認を行った相手に限ります。

十三 法第十五条第一項第一号から第三号まで又は前各号に掲げる措置をとった者に対し識別符号(不正アクセス行為の禁止等に関する法律(平成十一年法律第百二十八号)第二条第三項に規定する識別符号をいう。)を付し、その送信を受けることその他のこれらの規定に掲げる措置をとった者を識別でき、かつ、その者に第三者がなりすますことが困難な方法により、相手方についてこれらの規定に掲げる措置を既にとっていることを確かめること。(古物営業法施工規則第15条第3項第13号)

以上15の方法を除いて、インターネットにおける本人確認は「古物営業法」上で認められていません。いずれかの方法に則り本人確認を行いましょう。

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