古物商の販売ルートとして、押さえておきたいのがECサイトです。ネット上にショップを展開する為、全国各地から集客が可能になります。実店舗を構えるよりも費用を抑えられ、資金が少なくてもスタートできるメリットもあります。
実店舗とECサイトを上手く併用して利益を伸ばしている古物商も多く、販売ルートとして魅力的であることは間違いありません。外出自粛に伴い、ECサイトの需要はますます増え、近年の倒産傾向を見ると、ECサイトをうまく活用できるか否かが、今後の存続に関わっていると言っても過言ではありません。そこで古物商がECサイトを始める際の対応マニュアルを紹介します。
1.大手ECサイトに出店する
国内でも利用者の多い大手二大ECサイトと言えば、楽天とAmazonです。ECサイトへの出店を考えるのなら、まずこの2サイトのマニュアルを押さえておきましょう。
楽天
楽天市場への出店は、ネットから申し込みができます。まずはWebから出店申し込み及び審査書類を入力してください。後ほど、書類も必要となるため準備しておくと良いでしょう。
古物商許可証やその他に必要な許可、資格、商材の写真も用意しなければいけません。場合によっては登記簿謄本を送る必要があります。個人事業主として古物商を始めるなら、住民票・印鑑証明書・実店舗の写真も用意してください。
また、申し込みをしたからといって必ず出店できる訳ではありません。楽天からの審査があります。晴れて審査に通ったなら、出店料の支払いをします。楽天では、3つの選べる出店プランが用意されていますから、希望に応じたプランの金額を用意しましょう。
「がんばれ!プラン」
- 月額出店料/19,500円
- システム利用料/3.5~7%(月額売上高)
- 登録可能商品数/5,000品
- 契約期間/1年
「スタンダードプラン」
- 月額出店料/50,000円
- システム利用料/2.0~4.5%
- 登録可能商品数/20,000品
- 契約期間/1年
「メガショッププラン」
- 月額出店料/100,000円
- システム利用料/2.0~4.5%
- 登録可能商品数/無制限
- 契約期間/1年
楽天の特徴としては、パートナーとなるECコンサルタントがつくこと。販売ノウハウを無料で学べるeラーニング講座の楽天大学や自由に商品ページの作成が可能な無料ツール楽天GOLDなどがあります。
上記のプランから選択をしたプランの月額出店料を利用開始から20日以内に支払ってください。コンサルタントのアドバイスを受けながらネット店舗ページを作成、オープン審査通過後にショップ開店となります。
Amazon
Amazonの出店プランは2つあります。
「大口出品」
- 月額使用料/4,900円+販売手数料
- 成約金/なし
「小口出品」
- 月額使用料/なし
- 成約金/100円(1商品につき)
Amazonの販売手数料は、販売するカテゴリーによって違います。本なら15%、カー・バイク用品なら10%、大型家電なら8%といったように手数料は異なるため注意しましょう。Amazonの出店プランは、シンプルな2プランがあります。毎月49店以上アイテムを販売したいなら大口プラン、それ以下なら小口プランがおすすめです。
使用料や成約金以外にも、提供可能な支払い方法や利用可能なオプションサービスが違います。多彩な支払い方法やオプションを選択したいなら、大口出品プランを選択しましょう。Amazonでは、どちらのプランでも出品数に制限はありません。またいつでも出品プランの変更が可能です。
Amazonに出店するには、まず出店用アカウントを作成しなければいけませんから、準備しておきましょう。必要となる書類は、顔写真入りの身分証明書・過去180日以内のクレジットカードやネットバンキング・預金通帳の取引明細、メールアドレス・電話番号・銀行口座です。Amazonでも出店審査があり、およそ3営業日までに完了します。
2.自分でネットショップサイトを作成する
大手のECサイト内にネットショップを開店する方法の他に、自分でECサイトを作成する方法があります。自分でネットショップを作成するというと、非常に手間がかかり、専門的な知識が必要に思えるかもしれません。
ですが今は、ネットショップの作成を簡単にしてくれる便利なサービスがあります。例として、Application Service Provider、略してASPがあります。ASP型ショップやASPカート等という呼び名で、ネットショップの運営に必要な機能が既に備わったクラウドサービスを誰でも利用できます。楽天やAmazonに出店するよりも、手軽でお金の負担も少ないのがASPサービスの特徴です。ここでは、特に人気の高いASP型ショップ・カートをあげていきます。
BASE
ASP型ショップと言えば、BASEは外せません。BASEの概要について見ていきましょう。
- 登録料/無料
- 利用料/無料
- 手数料/注文合計額の3%、簡単決済利用料/合計額の3.6%+40円
- 振込手数料/250円
- 事務手数料/500円(申請額2万円未満・2万円以上で無料)
上記からからも分かるように、BASEを始める為の初期費用は無料です。登録料、年会費や月額利用料は発生しません。しかし、その他に様々な手数料が発生します。逆にいうと商品が売れない場合は、支払いはありません。
それでは、BASEを利用してショップを開店する方法を紹介します。方法はとても簡単でWebフォームにメールアドレス・パスワード、そしてショップのURLを決めて入力し、アカウント登録をしましょう。メールアドレス認証、特定商取引法に関する表記の入力、支払い方法の選択時に屋号・事業者情報・住所・ショップカテゴリーといった必要事項を入力します。ネットショップは通販となるため、特商法の表記は必須です。
BASEには、大手ECサイトにあるような出店審査がありません。必要な情報を入力しアカウント登録が済んだ後は、自分のショップサイトのデザインをカスタマイズしましょう。デフォルトのままでも構いませんが、自分のショップらしさを出すには、カスタマイズがおすすめです。販売する商品を登録すれば、晴れて販売完了です。
STORES
CMでもお馴染みのSTORES。フリープラン、スタンダードプランがあり、前者なら決済手数料は発生しますが無料で始められます。STORESもBASE同様、アカウントを作成すれば直ぐに利用可能です。大手ECサイトに出店するのではありませんから、厳しい審査も不要です。ただ、クレジットカード決済を利用するような場合には、その審査必要となります。
そのほか
他にもASP型ショップには、カラーミーショップやMake Shop、Shopifyなどがあります。こうしたASP型ショップには、BASEに代表される利用料が無料タイプと有料プランが用意されているタイプに分かれています。年々ASP型ショップサービスを提供する企業が増えているため、利用する際には確かな吟味が必要です。
どちらが向いているか検討することが成功の鍵
古物商にとって、ECサイトは利益アップの強い味方です。大手のECサイトへ出店する方法、自分でECサイトを開設しネットショップをオープンする方法のどちらかを選ぶところから始めましょう。
自分でネットショップを始めるのは難しいと思われがちですが、実際は開店するだけなら大手ECサイトに出店するよりも手軽だと言えます。初期費用、ランニングコストを比較してもリーズナブルです。ただ、集客力であったりブランディング力は、大手ECサイトに軍配があがると言えます。自社の知名度やSNSでの主客があるのか検討し、まずは大手の力を借りるというのも1つの選択肢でしょう。
また、既存のECサイトもASP型ショップもそれぞれに上記以外の特徴があり、メリット・デメリットもあります。一概にどのECサイト、ASP型ショップが一番良いとは言えません。
古物商としてどのようにビジネスを展開していくのか、扱うカテゴリや出品数なども考慮した上で選択する必要があります。
▶︎
見えないインターネット売買では、肩書きなど視覚的にわかりやすい情報が信頼に繋がる傾向にあります。ぜひ、一定の査定能力を身につけた古物商人だけが持てる、古物査定士資格もその1つとしてご検討ください。
古物査定士資格取得に関する問い合わせ窓口
(当面の間は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、資格試験を郵送で行うこととします)
コメントを残す