海外仕入れ・販売は? 古物営業法はどこまで適用されるか

古物商は、古物営業法という法律を守らなければいけません。

ですが、この古物営業法は日本国内の法律となります。そのため、古物ビジネスを海外にまで広げた場合、どこまで適用されるのか分からない部分も多いでしょう。

海外も視野に入れた方が、古物ビジネスのチャンスは広がります。

これから古物商の許可を取得する人、現在国内でのみ取り引きを行っている人も古物営業法の適用範囲について知っておくべきです。ケース別に古物営業法の範囲内かどうか紹介していきます。

古物を自力で海外から仕入れる場合

国内では入手が困難な古物は、オークションやフリマアプリ等でも非常に人気が高いです。また、海外のアイテムは物によって国内よりも安く仕入れることが可能です。そのため、古物を海外から仕入れる古物商が増えています。

ただ海外から仕入れるといっても、いくつかのパターンがあります。まず直接海外へ赴いて買い付ける方法。そして海外の業者から輸入をする方法。また、海外の仕入れサイトやオークションを活用する方法です。

ケース1:現地で直接仕入れる

自分で海外のアンティークショップや蚤市を見歩いて古物を仕入れる場合に、商品は古物営業法の範囲外だと考えられます。買い付けた中古のアイテムを日本へ持ち込み、国内の店舗やネット等で販売する場合でも古物営業法は適用されないと考えられます。

そのため、海外で買い付け・日本で販売というパターンでは、古物商の許可さえ必要ないと思いきや、古物商許可は必要とのことです。

一般社団法人古物査定士認定協会が警視庁へ問い合わせたところ、「売る」「買う」いずれかの行為であっても、古物商許可は必要と回答がありました(2021年9月頃)。

ケース2:海外のショップ等からネットで仕入れる

直接現地へ行かなくても、今は海外のアイテムをネットから簡単に仕入れられます。実際に古物商の仕入れルートとして、海外のオークションサイトが活用されています。

オークションの場合、ショップから購入するよりもより安く入手可能です。その上、思いがけないレアアイテムが出品されていることもあります。

まず、海外のショップが運営しているオンラインサイトからアイテムをネット注文するケースについて見ていきましょう。このケースでは、基本的に古物営業法の適用外という見解が根強いです。海外のショップと直接やり取りをして仕入れている為、日本の法律は適用されないと判断される為です。

しかし、中には必要という声もあります。ネットを介して売買するのは比較的最近のことですから、法律自体が古く最近のことに対応できていないという意見もあり、難しい問題です。

本来、法律が適用されるか否かは法廷が決めることですが、いらぬトラブルを避けるために所轄の警察に確認することをおすすめします。

ケース3:海外のフリマなど個人からネットで仕入れる

では、海外オークションサイトのように、個人の出品しているアイテムを仕入れる場合はどうなるでしょうか。この場合も海外との取り引きということで、古物営業法の適用外に思えます。

ですが、海外のオークションサイトから仕入れる時は、注意が必要です。なぜなら、海外のオークションサイトへ国内から出品している可能性もあるからです。

このようなケースでは、海外のオークションサイトを介した取り引きであっても、日本国内での取り引きとみなされます。そのため、国内の法律である古物営業法の適用範囲と考えられます。

代行業者を間に入れる場合

海外からの仕入れも、今では随分とポピュラーなものになり、方法も簡単になってきました。とはいっても、外国語に苦手意識があったり、支払いや発送に不安がある人は少なくありません。

そんな時に利用されているのが、輸入代行業者です。輸入代行業者とは、海外からの個人輸入に関する手続きを代わりに行ってくれる業者のことです。

古物商は直接海外のショップとやり取りをする必要はないため、言葉がわからなくても問題ありません。支払いや配送の手続きも代行業者が行ってくれる為、海外仕入れ初心者にとってもハードルが低い方法と言えるでしょう。

ケース1:国内の代行業者に依頼する

国内の業者から海外のアイテムを仕入れたことになる為、古物営業法の適用範囲と考えられます。

ケース2:海外の代行業者

輸入代行サービスでは、大抵が国内の業者との取り引きです。しかし、中には海外の代行業者も存在します。このような海外の代行サービスを利用するなら、商品は古物営業法の適用を受けないという声が根強いです。

ただ海外の輸入代行業者だと思っていても、実は国内の業者という可能性もあります。サイトからだけでは、判断ができないことも珍しくありません。

そのため、代行業者を介して海外のアイテムを仕入れる際には、古物営業法に則り許可を申請してから取り引きを行った方が問題は起こらないでしょう。

国内にあるお店で海外のアイテムを購入した場合

国内にも海外のアイテムを取り扱っているお店は、多数存在しています。まず、国内にあるお店の場合は古物営業法の適用になると覚えておきましょう。

例えば、国内にある海外の会社が運営している企業、外資系企業から海外の古物を仕入れる場合でも同様です。

国内で仕入れた古物を海外で販売する場合

海外から仕入れたアイテムを国内で販売するだけではなく、その反対のパターンもあるでしょう。国内で仕入れたアイテムを海外で販売するケースです。

国内での古物の仕入れも様々な方法があります。古物一番で仕入れる方法、リサイクルショップ等で入手する方法、またネットやオークション、フリマアプリから仕入れる方法が最近の主流です。

国内でアイテムを仕入れるのであれば、その方法は問わず全て古物営業法に従わなければいけません。販売するのが海外であっても、仕入れが国内で行われたのなら古物営業法の適用範囲です。

判断のポイント

古物営業法が適用となるかどうかを見極めるポイントは、古物の仕入れが国内の取り引きかどうかです。国内のお店、国内の業者から仕入れた場合には、法律が適用されます。輸入代行であっても、その代行企業が国内の代行業者であれば適用範囲です。

しかし、最近はインターネットの普及などにより、どこまで適用範囲とするか解釈が割れることがあります。どこまで適用されるのか判断に迷った時には、所轄の警察に確認してください。

警察によって見解の割れがある部分が少なくなく、指導等に当たるのが所轄の警察署であるためです。そして今回、警視庁に解釈をはっきりしてもらうべく問い合わせましたが回答できないとのこと。代わりに所轄の警察へ確認するよう促されたのも理由の1つです。

特に、所轄の警察署が法律の適用外だと判断した場合に、罰則の対象となってしまうこともあります。警察が法律の適用範囲を決めることはできないため、それが不服であれば裁判で最終的な結論を出すことになる可能性もあります。

裁判を起こす前に法務事務所に相談してみるのも良いでしょう。専門家の見解を求めた後で、裁判をするべきかどうか決めた方がリスクも少なくて済みます。

ですが、そうまでに至るよりかは、面倒だと思っても予め警察に確認をしておいた方が、余計なトラブルも起こりません。

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