せどりも古物商許可が必要? 警視庁の見解等を踏まえると…

せどりも古物商許可が必要? 警視庁の見解等を踏まえると…

せどりも古物商許可が必要なのか。インボイス制度の導入により、これまで深く考えず営業してきた人も検討するケースが出てきました。警視庁の見解なども踏まえながら、せどりと古物商許可・インボイス制度の関係性について説明していきます。

転売とせどりの違い

転売もせどりも、物を仕入れて売ることは同じです。

転売は、人気商品、限定商品、トレンドの商品を小売店などから定価で買い占め、それを他人に高額で販売し利益を得ます。買い占めることでさらに供給不足となり希少性が出てしまう点に問題があり、社会問題となっています。

それに対してせどりは、安く仕入れて定価、もしくはお買い得に売ることで利益を得るビジネススタイルです。目利きにより掘り出し物をみつけてきて販売することから始まっています。

欲しい人が売ってないためやむを得ず高いお金を払う転売に対し、せどりは仕入れ努力をして適正価格で売ることです。近年ネット販売も主流となりさまざまな媒体を通して商売が可能になったため、正しい販売の方法とはどういうものか問われています。

店舗せどりとは

店舗せどりは量販店が主な仕入れ先です。もちろん定価の商品を仕入れるわけではありません。量販店では時期やセールによって、思いもよらない価格での販売をしていることがあります。そういったセールをリサーチし、労力と情報を頼りに賢い仕入れをすることで、販路で利益を上げられる可能性を高めます。

また、中古買取業者を利用する人もいます。自分の持つ販路ではより高く売れる見込みのあるものなどを仕入れています。

いつでも始められますが、経験や基礎知識も大きく影響し、より努力を惜しまず情報収集している同業者には負けてしまうため、知識、努力、フットワークの軽さが重要です。店舗でせどりをするには車の所有がほぼ必須です。

店舗せどりの例

例えば、量販店のセールには周年祭などがあり、その期間特別価格で買える場合があります。スマホのガジェットなどであれば、在庫一掃セールをしている場合もあるでしょう。それらを仕入れ、相場より少し安く販売できればその差額が利益となります。

総合買取業者などに行き、自分の専門ジャンルで安い値付けがついているものを仕入れることで、大きな利益を得るケースもあります。

電脳せどりとは

店舗せどりに対し、電脳せどりは仕入れ先がインターネットです。楽天やアマゾン、オークションサイトを使った仕入れまでさまざまですが、ネット環境があればどこでも仕入れができます。インターネットは24時間買い物ができるため、その人に合った時間帯での仕入れが可能です。

店舗せどりの場合、住む地域が都心に近いことが有利に働いたりしますが、電脳せどりはそういった点も不利益になりにくいです。大きな荷物を運ぶ手間もなく、誰もがやりやすいという特徴があります。

電脳せどりの例

例として、中華サイトを経由して、トレンドに合った服を業者として大量に仕入れる方法があります。

また、店舗と同様、ネット上にも割引価格で買える日を決めているサイトをうまく活用するケースもあります。ネット上のセールやイベントを狙い、格安な商品を仕入れると同時に、次回使えるポイントを稼いでおくなどの手法も電脳せどりでは使われます。

せどりに古物商許可は必要?

せどりは価格を吊り上げて販売しませんが、ビジネスとして仕入れをしていることに変わりありません。その場合古物商認可が必要です。営利目的で仕入れたものを販売する場合、古物商の許可をとっておかないと違法となります。古物商無許可違反の罰則として、3年以下の懲役または1,000,000円以下の罰金、その両方が課される記載があります。

“第三条 前条第二項第一号又は第二号に掲げる営業を営もうとする者は、都道府県公安委員会(以下「公安委員会」という。)の許可を受けなければならない。(古物営業法第3条)”

“第三十一条 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
一 第三条の規定に違反して許可を受けないで第二条第二項第一号又は第二号に掲げる営業を営んだ者”(古物営業法31条1号)

古物営業法は「古物」に関する法律のため、新品の販売であれば古物商許可を得る必要がありません。新品とは一般消費者に一度も渡っていない商品のこと。警視庁の見解では、メーカーの仕入れでなければ全て中古品とのこと。メーカーとして事業をおこなっている場合を除き、古物商許可は必要と考えられます。

仕入れのため実質インボイスを導入する必要がある

せどりにおいて、インボイスの導入は不可欠になろうとしています。一部適格請求書が免除される場合もありますが、仕入れ時に消費税を支払い販売後にも消費税分を納税すると、利益分が大幅に小さくなります。

従来:一般個人の仕入れも消費税控除ができる

従来は、適格請求書がなくても、年間課税売上高1,000万円以下のフリーランスや個人事業主が仕入れをした場合、消費税分の控除が可能でした。

今後:インボイス登録事業者でないと消費税控除ができない

2023年10月からは、インボイス登録事業者でなければ消費税額控除ができません。控除において、適正請求書の保存が必須です。

せどりはインボイス制度の導入で捕捉されやすくなる

「インボイス制度が導入されることで、せどりは違法行為を行うと以前よりも速やかに捕捉され、然るべき対応をされるのではないか?」という意見が出ています。

1.一定の事項が記載された帳簿を保存になるから

古物商特例、質屋特例により、インボイスを発行できない業者からの仕入れであることを明らかにすれば、消費税額控除の対象にできます。ただ帳簿7年保管が必要で、氏名、住所、取引年月日、取引内容、支払いの対価額、インボイス発行できない事業者であることの証明書が必要です。

せどりは古物商許可を得ていないケースも多いようですが、消費税控除を受ける際に、商品の仕入れをしている人が古物営業法をきちんと取得しているかどうか等が確認されるのではないかと巷で言われています。

また、古物営業法に基づいて仕入れを行う場合、買取金額が10,000円を超えると、売り手の氏名、住所、年齢、職業などの個人情報が必要となります。バイク、ゲーム、音楽CD、DVDなどは10,000円以下でも個人情報が必要です。

「一定の事項が記載された帳簿」の保管をインボイスの観点からも求められることで、より記録に対して厳格性が求められるっでしょう。細かな情報管理を徹底し、漏れなく保管しておくことはかなり大変です。専業で細かく帳簿管理ルールを設けたり、管理体制を整えないとミスが起こる恐れはあります。

2.棚卸資産と私生活のものが明確に分けられるから

業として行う上では、保管義務のある帳簿や、棚卸資産と私物の明確な区分も必要です。

せどりを行う中で、消費税額控除の対象となるのは、棚卸資産です。自分の生活に使用するものは含まれません。生活をしながらせどりをおこなう中で、棚卸資産だけを分けておくには管理場所、管理ルールも必要です。

そして、今までは「生活しながら不要になっていたものを売っている」という建前で古物営業法から逃れようとしていた人も、棚卸資産として消費税額控除を受けることで言い逃れできなくなります。制度によって、より業としての仕入れと、個人が生活で利用する中で売買しているものと明確になります。

インボイス登録事業者になる際の注意点

一部のサービスを除き、そもそも古物営業法に乗っ取り、フリマアプリで個人情報を得るのは困難です。つまり、仕入れ先として期待できません。

フリマアプリは少しずつ個人情報を相手に伝えなくても使えるように進化してきました。匿名性が人気のひとつでもあります。個人情報を求められるなら売らない人が増えることが想定できます。

せどりは副業でおこなっていても利益を上げる立派な事業です。フリマアプリでの仕入れをするとと、古物台帳に記載が必要な個人情報を得られず、結果として違法行為とみなされます。

今後ますますフリマアプリを使った仕入れに対して厳しい監視をされるようになるでしょう。世の中のルールに沿ってやり方を変えていく必要があります。

古物商許可を得てせどりを行いましょう

古物商許可を得て、せどりを行わないのはそもそも違法です。

そして、インボイス制度の導入により、消費税額控除をおこなわないと、利益だと思っていた売上から消費税分の納税が必要になります。物販でその分の利益を得るのは簡単なことではありません。

古物商許可を得た上でインボイス登録事業者になれば、消費税額控除を受けて健全に事業を行うことができます。

せどりで利益を出せている人こそ、インボイス制度が始まる10月までに新たな管理の仕組み、仕入れの仕組みを作り直すとよいでしょう。ルールにのっとり新たな準備ができれば、人より先にせどりで利益を出す仕組みを作り直せるはずです。

▼当協会では、健全な古物営業に向けた取り組みや知識の更新・資格交付をおこなっています。

古物商許可を得たうえで査定に不安がある方、他の事業者と差別化を図りたい方はぜひ資格の取得をご検討ください。

古物査定士資格取得に関する問い合わせ窓口
(当面の間は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、資格試験をオンライン上で行うこととします)

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