古物商は勉強をしなくても、簡単に始められるビジネスだと思われがちです。許可を取得するのに試験もなく学歴なども関係ない古物商は、確かに始めるのは簡単な部類だと言えるでしょう。
ですが、許可を得ることよりもむしろ大変なのは、その後からです。古物商をビジネスとして成立させるには、勉強が必須となります。それも、一時的な勉強ではなく常に勉強し続けなければいけません。その理由は何故なのでしょうか。
古物商が勉強する必要性・理由
古物商許可を得て営業を行っている人は、常に勉強をし続けていく必要があるでしょう。その理由を考えるまでもなく勉強したいところですが、人によっては動機を作りたいかもしれませんね。ここでは、勉強が必要な理由について改めて考え、いくつかピックアップしていきましょう。
法律の改正が行われているから
物営業に係る業務につくなら、古物営業法に従う必要があります。この法律は昭和24年に成立したのち、時代に合わせて何度も改正を重ねています。そのため、こうした法律についても改正の度に新しく勉強していかなければいけません。
法の改正により、これまでグレーゾーンだった部分が、違法になるというケースもあります。知らないまま古物商ビジネスを行っていると、法律に違反して罰則を受けてしまう可能性もあるでしょう。場合によっては、古物商の許可を取り下げられてしまう自体もあり得ます。
勉強しなければいけない法律は、古物営業法だけではありません。ワシントン条約や種の保存法、特定商取引に関する法律、消費者契約法など古物ビジネスに関連するものは沢山あります。
当然、知らないままにビジネスを続けていると、法に触れてしまう事もあるのでしっかりと勉強しなければいけません。時代や社会の状況に合わせて改正されていきますから、自分の知識をデートアップする為にも勉強は必須となるのです。
相場や市場の動向を常に知っておく必要があるから
古物商で利益を出すには、市場の動向を常に押さえておく必要があります。中古品の相場は、仕入れ値も売り値も常に変動しているものです。また、どんな商品が売れるのか……利益率の高いアイテム・回転率の高いアイテムをリサーチする事も大切になります。
勉強することなく勘に任せて仕入れアイテムを決めて売買していると、余分な在庫を抱えてしまう等ビジネスに失敗する要因を作ってしまうでしょう。不勉強で相場よりも高い値段で仕入れてしまったり、安い販売値を付けてしまうと、利益が出ないといったデメリットもあります。だからこそ、利益を出す為には市場動向を勉強する必要が出てくるのです。
そして、先ほど述べたように市場の動向は一定ではなく変動するものですから、勉強も続けていかなくてはいけません。
ちなみに勉強とは、ただネットの情報を検索してマネをすれば良い訳ではありません。もちろん情報の収集はとても大切ですが、ネットに出回っている情報は、多くの古物商が既に知っているものです。
競争率が高く、その情報では、既にあまり稼げなくなっている可能性があります。ビジネスとして成功させたいなら、市場の需要を先どりしなければいけません。その為にも勉強が必要になり、勉強したことを生かして先を見通すスキルを養う必要があります。歩みを止めてしまうと利益をあげられなくなってしまうでしょう。
古物商には真贋鑑定力が必要だから
古物ビジネスの中でも、常に安定した人気と需要を誇るのが、中古ブランド品になります。
人気ブランドの財布やバッグ、高級腕時計は、利益をあげやすい商品ジャンルだと言えるでしょう。
しかし、ブランド品を扱う場合に必要となるのが本物を見抜く真贋鑑定力です。
真贋鑑定を鍛えるには、経験も大切ですが、勉強も必要です。
ブランド品は、新品でも偽物が多く流通しており、故意ではなくともネット市場や買取りの現場に偽物が持ち込まれてしまうケースもあります。
偽物を仕入れ・買取りし販売をしてしまうと、面倒な事になってしまいます。
そういったリスクを減らす為にも勉強が必要となる訳です。
ブランド品は、年代やデザイナーによって特徴も異なるもの。
だからこそ、常に新しい知識を学ばなくてはいけません。
また、ブランド品だけではなく、美術品も真贋鑑定力が大切になるジャンルです。
時には何百万円、それ以上の価値がつく美術品を扱うには専門的な知識が必要不可欠となります。
他のビジネスの勉強も大切だから
古物商は、ただ中古品を転売するだけではなく、他のビジネスと組み合わせる事によって選択肢が広がります。ですから、他のビジネスや資格の取得も目指して勉強をするのがオススメです。
どんなビジネスとの組み合わせが「、今の時代にはベストなのか?」といった事も勉強していかなければいけません。
同じ方法では稼げなくなるから
今、古物ビジネスで稼げているとしても、同じ方法でいつまでも利益を出し続けられる保証はありません。というよりも、同じ方法をただ続けているだけでは、必ず行き詰まる時がきてしまうでしょう。
継続して稼ぐ為には、新しい方法を探し続ける必要があります。だからこそ、勉強もし続けなくてはいけないのです。
最適な仕入れ方法や販売方法も時代と共に変わっていくでしょう。例えば、今利益の出やすいアイテムが多数見つかる仕入れルートが、1年後には価値のないものになっている可能性も十分に考えられます。
また、その時々での流行があります。例えば、外出自粛の初期では、家にいる時間が増えたことから模様替えが流行し、中古品をはじめとしたインテリアの需要が大変高まりました。買取業者の一部が外出自粛による売買の停滞による痛手を負っている中で、一部は最大限に恩恵を受けていたと言います。
現在の状況に胡座をかかず、積極的に勉強しなければ、古物商は続けていけません。
悪徳業者になってしまうことがあるから
例えば鑑定眼が不十分だと、ものを高く買い取ってしまったり、逆に安く買い取ってしまったりすることがあります。前者は買取業者の損失・痛手という話ですみますが、後者は消費者の信頼を損ねてしまいます。口コミにより、店の信頼を落としてしまうこともあるでしょう。
他にも、不勉強によるマナー違反や、本来はクーリングオフ適用となる買取方法で「適用できない」と言ってトラブルになるなど、あらゆる事態が想定できます。不勉強によって、そのつもりがなくとも悪徳業者と見なされてしまうことがある可能性は、念頭に置いておくべきでしょう。
逆に、「出張買取でのトラブル事例が非常に多いため、安心できるような取り組みをしたい、それを明記したい」など知識があることで消費者から信頼を得ることに繋がる行動も取りやすくなります。
まとめ
古物商は欠格事由に該当せず、営業所を用意できれば簡単に許可がおります。そのため、「楽な仕事だ」「勉強しないでのんびりと働きたい」と考えてしまう人も少なくありません。
しかし、古物業界は盗品・贋作の流通が多いことからわかるように、十分な知識と最新の注意を払った行動が求められます。勉強せずに営業し続けていくのは、なかなかに困難なことでしょう。
常に、古物業界の動向をリサーチし、最近の流行や法改正等にアンテナを張るようにしたいですね。それが自身の利益や顧客からの信頼にも繋がるはずです。
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