車買取のトラブル事例・買取業者に求められるマナー

ディーラーの下取りと比較して高値で売れる傾向があることから、車買取市場は盛んです。しかし、需要が高い反面、車買取トラブルが増えているという実状もあります。

車買取のトラブルが増えている

消費者センターには、毎年1000件をこえる車買取りにまつわるトラブル相談が寄せられています。2021年度には、それまでより約300件以上も多い1519件の相談がありました。これからも、相談件数は増加傾向にあると予測できます。

(画像は国民生活センターから引用)

車買取に多いトラブル例

車買取では、どんな内容のトラブルが多発しているのでしょうか。トラブルを防止するためにも、現状を把握しておく必要があります。

今回は「車買取業者としての立ち振る舞い」を中心に述べていきますが、車買取サービスを利用する消費者でトラブルでお困りの方は、専門の窓口に相談してみましょう。車買取トラブルなら、消費者生活相談窓口の他に一般社団法人日本自動車購入協会(JPUC)への相談がおすすめです。

JPUCは、消費者が安全安心に取引できるよう業界の健全化を目指して設立された団体であり、活動のひとつとして、車の買取・売却に関するトラブルに対応すべくJPUC車売却消費者相談室を設けています。業界に精通した相談員が、完全無料にてアドバイス、サポートを行ってくれるため、ぜひ利用してみてください。

居座って帰って貰えない

「見積もりだけのつもりだったのが、業者が居座り帰ってくれないため、やむを得ず契約してしまった」

非常に強引なやり方で、契約をせまるといったトラブルが車買取では多くなっています。業者が自宅に居座る以外にも、見積もりや相談で訪れた店舗から帰してもらえないケースも報告されています。

このようなやり方は、消費者に対して大変な恐怖を感じさせてしまいます。十分に注意しなければいけません。

一括査定を依頼したら談合されていた

消費者は、誰でもできるだけ高く車を売却したいと思うものです。車買取は、業者によって査定価格に数万~数十万円の違いが出ることも珍しくありません。そのため、複数の業者から見積もりを取れる一括査定がよく利用されています。複数の見積もりを取ることで、一番高い業者に売却できるからです。

しかし、そんな一括査定におけるトラブルも少なくありません。そのひとつが、車買取業者による談合です。消費者の知らないところで業者同士が相談をし、秘密裏に協力関係を結んでいる状況です。

一括査定で車に高値がつきやすいのは、買取業者が互いに競合するためです。しかし、裏で「今回はA社に譲る」といった談合が行われると、価格競争がされないため安価で車を買い叩かれる状況が生まれます。

談合は、独占禁止法により禁止されている行為。利益を上げるためだからといって、していいことではありません。

“第三条 事業者は、私的独占又は不当な取引制限をしてはならない。”(「独占禁止法」第三条

勝手に契約したことになっている

車の買取は、消費者と業者双方の合意があって初めて成立するものです。しかし、消費者は契約をした覚えがないのに、業者が勝手に契約を締結してしまうというトラブルも増えています。

もちろん契約の意思がない消費者側は、契約の解除を求めるでしょう。すると業者は、キャンセル料として高額な支払いを請求します。こうした詐欺のようなトラブルが発生しています。そもそもキャンセル料自体、損害の実費を上回る高額な請求は法的に認められていません。

中には、そのまま勝手にローンを組まされてしまうこともあるようです。

契約後にキャンセルしたら法外な金額を請求された

車の買取契約を結んだ後にキャンセルをした場合、ほとんどの業者でキャンセル料が発生します。問題はそのキャンセル料の金額です。法外なキャンセル料を請求されたというトラブルが、相次いで寄せられています。

例えばキャンセル料金として発生するのは、車のクリーニング費用5,000~10,000円前後。陸送費は、距離にもよりますが、数万円程度かかることもあります。こうした金額をあわせても、買取のキャンセル料金は50,000~100,000円が相場です。キャンセルをした時期にもよりますが、何十万円という請求は、法外な金額とみなされます。

悪質さの酷い業者では、査定額と遜色ない金額がキャンセル料として請求された例もあります。

“第九条 次の各号に掲げる消費者契約の条項は、当該各号に定める部分について、無効とする。
一 当該消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項であって、これらを合算した額が、当該条項において設定された解除の事由、時期等の区分に応じ、当該消費者契約と同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるもの 当該超える部分(「消費者契約法」第9条第1号)”

契約後に査定額を減額された

契約後に査定額から減額されたというトラブルも珍しくありません。査定額に納得したうえで、契約を結んだにもかかわらず、実際の買取金額は減額されてしまうケースです。

「減額されるなら売却しなかった」「他社のほうが高く売れた」など、契約後の減額はトラブルの元です。減額を理由に契約の解除を申し出ると高額なキャンセル料金を請求されるといった二重のトラブルも報告されています。

事故・修復歴が後から発覚する

車買取トラブルは、消費者側が原因で起きることもあります。それが、消費者が告知しないことにより、後から車の修復歴や事故歴が発覚すること。

修復歴があったり事故車だと、査定ではマイナスになります。消費者にも瑕疵(かし)担保責任があるため、車の不具合を隠して売却すると、後から査定額が減額にたる可能性が高いです。もしくは、損害賠償やキャンセルに発展する可能性もあります。

大きな揉め事にならないよう、契約書上に告知していない事故・修復歴があった場合について明記している買取業者も多いほどです。

中古車を購入したらトラブルが頻発している

普通自動車の平均寿命は、およそ13年と国産の車は長く乗り続けることができます。しかし、購入したばかりにもかかわらず、中古車に不具合が発生するというトラブルも少なくありません。

不具合の内容は、異音や振動がするといったものからエアコンが効かない、エンジンがかからないといったものまでさまざまです。しかし、いくらメンテナンスをしていても技術によるところが多く、販売まで気づかない問題や保管中に状態が悪くなった可能性が考えられる問題もあります。

そこで、中古車の不具合に関しては、業者によって距離や期間保証が設定していることもあります。

車買取業者として求められるマナー

車買取トラブルを避けるためには、業者としてのマナーを遵守する必要があるでしょう。

談合をしない

査定を依頼された際、競合他社と談合はしないようにしましょう。談合は、マナー違反となるだけでなく自由競争を妨げるとして独占禁止法に該当します。違法性のある行いであると自覚し、他社から談合を持ちかけられても応じないようにするべきです。

即断即決を求めない

早く契約を取りたいと焦り、査定見積もりの後すぐに決断を迫る業者がいます。消費者の立場からすると、よく考えてから結論を出したいと思うものです。中には、すぐに売却するつもりはないという方もいます。消費者の意思が固まる前に即断決を求めると、例え契約が決まっても後からトラブルに発展するケースが少なくありません。

迷っている様子が見られたなら、一度ゆっくりと考えてもらうようにしましょう。消費者目線で商談を進めていくと、無駄なトラブルを避けられます。

プロとして査定に責任を持つ

車買取業者と消費者の立場は、決して平等ではありません。消費者はプロである業者に比べて情報の量や質、交渉力などが弱いと言えます。ですから、買取業者の言葉を鵜呑みにして、契約に応じてしまうこともあります。

業者が会社の利益のみを優先して査定をすると、それは消費者に不利益をもたらすことに他なりません。ですから、車買取業者はプロとして適切な査定を行い、その結果に責任を持つ必要があります。また、法律でも弱者である消費者を守るために「消費者契約法」が定められています。

マナー違反の買取はクチコミで知れ渡りやすい

最近では、クチコミサイトやSNSなどで業者の悪評はすぐに知れ渡ってしまいます。マナー違反の査定や買取を続けていると、結局は自分の首を絞めることになるでしょう。

一度悪いイメージがつくと、マナーを改善しても消費者の足は遠退いてしまいます。日頃からプロとしての自覚と責任感を持ち、真っ当な交渉を行いましょう。

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