古物の委託販売を始めたいと考えている方は、古物商許可が必要です。知らずに無許可で古物の委託販売をおこなうと、無許可営業で罰せられる可能性があります。
「これから古物の委託販売を始めようと考えている」
「古物の委託販売における注意点を知りたい」
「古物の委託販売について詳しく知りたい」
といった方もいるでしょう。そこで本記事では、古物の委託販売における注意点や、古物商許可の申請方法などについて詳しく解説します。
古物営業法における委託販売とは
古物商営業法において、委託販売をする際には古物商許可が必要です。委託販売とは、依頼を受けて他人のものを販売することを指します。
古物営業法第2条第2項に記載されている、古物営業についての規定は以下の通りです。
“古物を売買し、若しくは交換し、又は委託を受けて売買し、若しくは交換する営業であって、古物を売却すること又は自己が売却した物品を当該売却の相手方から買い受けることのみを行う物以外のもの(「古物営業法」第2条第2項)”
上記の条文から分かるように、古物営業に委託販売が含まれることが明記されています。委託販売をする際には、古物営業法に違反しないよう十分に注意が必要です。
うっかりに注意!古物商許可が必要な中古品の委託販売
先述したように、中古品の委託販売には古物商許可が必要です。うっかり無許可でやってしまいがちな例として、手数料を受け取って他人の古物を店舗内で販売することなどが挙げられます。
直接的な古物の売買はおこなっていないため、許可が不要と考える方も多いかもしれません。しかし、警察の見解では手数料などを得ることにより、帳簿上で金銭の動きがあることから古物商許可が必要、との見方をしているようです。手数料などの報酬を受け取らずに、中古品の委託販売をする際には古物商許可は不要です。
古物商=自らまたは委託により売買または交換する人
もうひとつ、うっかり無許可でやってしまいがちなのが、古物と財産権に値するものを交換する場合です。古物商は、「自らまたは委託により売買または交換する人」のことを指します。交換する場合についても、古物営業法第2条第2項に明記されています。
例えば、古物をお店で利用可能なクーポン券やポイントと交換する場合は、古物商許可が必要です。委託販売だけでなく、委託を受けて古物と財産権に値するものを交換する場合に許可が必要なことも、あわせて知っておくとよいでしょう。
警察の間では古物商許可が必要との見解
警察の間でも、委託販売には古物商許可が必要との見方をしています。例えば、北海道警察のホームページでは以下のように記載しています。
“国内において、古物の「売買」、「交換」、「委託を受けて売買」、「委託を受けて交換」を行う営業を始めるには、古物営業の許可が必要です。 (北海道警察「古物商許可申請要領」)”
ほかの警察署においても、同様の内容が確認できます。上記のように、警察の間でも委託販売には、古物商許可が必要との見解です。きちんと理解して古物営業法に違反しないよう、十分に気をつけましょう。
古物商許可がなぜ必要か
「そもそも古物の売買になぜ許可が必要なのか」と感じる方も多いかもしれません。古物の売買に許可が必要な理由は、盗品の流通を防ぐためです。許可なしで古物の売買ができてしまう場合、盗品が流通しやすくなったり、盗品と知ったうえで販売する悪質な業者が出てきたりする可能性が高いです。
古物営業法は、盗品などの売買を防ぐこと、盗品が流通した際に速やかに発見できるようにすることを目的に作られています。そのため、古物営業法では、古物の売買の際に本人確認を義務づけるなど、盗品の流通を防ぐ対策が多くなされています。
委託販売においても古物商許可が必要なのは、犯人から盗品の販売を委託される可能性があるためです。委託販売された盗品が売れた場合は、犯人へ利益が生じてしまいます。盗品の委託販売によって犯人へ利益がわたる可能性があることから、委託販売も古物商許可が必要とされています。
古物とはなにか
古物営業法における古物とは、以下のものを指します。
- 一度使用されたもの
- 一度も使われてはいないが、使うために取引が行われたもの
- 上記の物品に対し、“幾分の手入れ”をしたもの
- 古物と聞くと多くの方が中古品をイメージすると思いますが、場合によっては新品でも古物に該当するため、注意が必要です。古物については、こちらの記事で詳しく解説しています。あわせてご確認ください。
古物商許可が必要な場合とは
古物の委託販売、古物と財産権に値するものを交換する以外に、古物商許可が必要な場合は以下の通りです。
- 古物を買取して売る
- 古物を買取して部分的に売る
- 買取した古物を修理して売る
- 古物を買取してレンタル業に用いる
- 国内で買取した古物を海外で売る(輸出)
無許可で古物営業をおこなった場合、「3年以下の懲役または100万円以下の罰金、もしくは両方」を科せられる可能性があります。古物営業法に違反しないよう、上記についてもしっかりと確認しておきましょう。
古物商許可の申請方法
古物商許可を申請するおもな流れは、以下の通りです。
- 古物商許可の取得条件を確認
- 申請に必要な書類を用意
- 申請書の作成
- 警察署へ書類提出・手数料の納付
申請対象外であった場合、書類を用意しても無駄な手間となってしまいます。古物商許可を取得可能か、事前にきちんと確認しておきましょう。
申請書類の書き方については、こちらの記事で詳しく解説しているので、ご一読ください。
申請書類が完成したら、主たる営業所を管轄する警察署へ提出し、手数料を納付します。申請にかかる費用は19,000円です。一般的に、古物商許可の審査期間は40日程度とされています。古物商許可の申請がおりるまである程度の日数を要するため、申請書類は余裕を持って提出しましょう。
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