消火器の取り扱いに注意! 買取のポイント

引越しで買取依頼が増える消火器。安易に買取をすると、次の利用者を危険に晒してしまう可能性があります。

消費者は売っていれば、問題なく使えると考えてしまいがち。販売する側も、消火器の寿命や保管状況について押さえておきましょう。

消火器などの訪問販売トラブルが増えている

消防職員や市町村職員を装い、法外な値段で販売する等のトラブルが相次いでいます。訪問販売で住宅用火災警報器や消火器などを購入した場合に、クーリング・オフ制度が適用される可能性があります。

参考)政府広報オンライン

消火器の破損事故に加担しないよう注意

ドライヤーなど、日常的に買取されるものの中でも、寿命を過ぎて使用することで発火等の危険が発生する要注意なものがあります。

その中でも、引越しシーズンに利用者が処分方法に困って問い合わせが来やすいのが消火器です。

メーカーや消防機関からの情報提供により把握できた破裂事件は、昭和43年から平成21年までに合計161件。平均にして、年間4件程度発生しています。

消火器の使用期限

本体に使用有効期限が記載されています。目安は業務用で10年、住宅用で5年です。

使用期限が過ぎたものをジャンク品として売るのは危険ですので、辞めましょう。破損によるケガが発生する恐れがあり、場合によって死亡事故に発展することがあります。

また、使用期限を過ぎていなくても、以下は危険なため利用しないようにしたいところです。

  • 腐食がある
  • サビがある
  • 変形、へこみがある
  • キズがある
  • 高温多湿の中で保管されていた
  • 海辺などで潮風に晒されていた

消火器による事故事例

消火器による事故は、重大なものに発展しやすいです。総務省消防庁が公表した過去10年(平成12年〜平成21年)に置いては、破裂事故26件のうち、死者3名(事故3件)、負傷者22名(事故21件)が発生しています。

中でも多いと考えられているのは、腐食による本体容器の強度低下を主要因とす ると考えられるもの(74 件)です。

いずれも、適切に保守管理や廃棄処理等が行われていれば、 危害を防止することができたと考えられています。

事故事例1:製造後30年以上経過していた消火器が破裂

令和3年5月、兵庫県姫路市において、火災の際に使用した点検未実施の消火器が破裂し、初期消火を行っていた従業員が負傷する事故が発生しました。使用された消火器は製造後30年以上経過しており、底部が腐食していました。

また、過去には同様の事例による死亡事故や老朽化消火器の破裂事故など各地で発生しており、製造から10年以上を経過したものや、容器に錆や変形がみられる消火器は、重大な事故が発生するおそれがあり注意が必要です。(加古川市「消火器の破裂事故に注意してください!」

事故事例2:子どもが触って遊んで重症

平成21年に大阪市で、小学生の男児が屋外の駐車場に放置された古い粉末消火器に触って遊んでいたところ、突然消火器の底部が破裂し、破片が頭を直撃して重傷を負う事故が発生しました。
また、同様の事故が全国で多数発生しています。(川崎市「古い消火器の破裂事故を防ぐために」

事故事例3:破棄するために触ったところ破損し死亡事故に

事故は古い消火器で起きました。その消火器は雨ざらしだったのか、容器の腐食が激しい状態でした。流石に使えないと思ったのか、どこかに運ぼうとした方が消火器を廃棄するためレバーを握ったところ、錆びていた容器底部が破損。

そこからガスが放出されたことでロケットのように消火器が飛び頭部を直撃。頭部の損傷がきっかけとなりその方はお亡くなりになったそうです。(長沢防災「消火器で起きる重大事故」

その他事故事例

ほかにも、数多くの事故が発生しています。防災システム研究所では、平成13年までに発生した主な消火器破裂事故を一覧で公表しています。

また、松山市でも平成21年〜平成25年の消火器破裂事故をまとめていました。

消火器を処分するには

顧客満足度向上のため、買取が難しいと判断した消火器の処分を案内する場合に、以下の方法などが考えられます。

  • 消火器リサイクルセンターを利用した有料での処分
  • 買い替え時に無料引取依頼※店舗、種類により引取不可な場合もある

消火器リサイクルセンターについては、特定窓口での回収や指定取引所への持ち込みのほか、ゆうパックによる回収方法もあります。

処分における注意点

  • 自治体では回収ができない(適正処理困難物)
  • 平成22年1月から産業廃棄物ではなくなっている
  • 特定窓口や指定取引場所で消火器を処分する際、対象外の消火器が存在する

消火器の買取は正しい知識で行おう

取り扱いを誤ると危険な消火器。しかしながら、消火器の危険性はあまり周知されておらず、2010年時点での認知率は個人で9%、事業所で16%でした。

買取を行おうとしている人の中にも、使用期限が過ぎているものの危険性や使用期限が過ぎていなくても、特定条件で特に危険であることについて、知らない人も多いのではないでしょうか。

消火器の中古品は、特に取り扱いに注意が必要です。訪問販売によるトラブルが多く報告されていますが、買取業者のマナーとともに今一度、扱う商品について十分な知識があるか確認したいものです。

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