古物商は比較的簡単に取得できる許可です。そのため、サラリーマンや主婦、学生など副業として転売を考えている人達が、軽い気持ちで許可を取得するケースも少なくありません。
しかし、古物商を取得して古物営業を開始させるなら、必ず古物営業法を守る必要があります。法令を守らなければ、相応の罰則を科せられてしまうでしょう。
軽い気持ちで取得した古物商で思いがけず、重い罰則を受ける事になってしまったら大変です。古物商の許可を取得するなら、必ず覚えておいて欲しい罰則をまとめて紹介します。
一番重い「3年以下の懲役・100万円以下の罰金」
一番重い罰則は、3年以下の懲役、または100万円以下の罰金です。場合によっては、その両方が科せられる事もあります。もし懲役になってしまうと、最長で3年も刑務所へ収監されてしまいます。
懲役にならずとも、最高で100万円の罰金を支払わなくてはいけません。
上記の罰則は「無許可営業」「名義貸し」「不正な手段により営業許可を受ける行為」「営業停止命令違反」のいずれかが対象です。
無許可営業
古物営業を行う為には、古物商の許可を申請しなければいけません。
もし「申請をしていない・申請をしたが却下された」にもかかわらず、営業を行うと無許可営業として罰則の対象となってしまいます。
名義貸し
自分の名義で取得した古物商許可を使って、他人に古物営業を行わせる行為が名義貸しです。これは、無許可営業を斡旋しているようなものです。他人の許可を使って商売をしている本人はもちろん、名義を貸した側にも重い罰則が科せられます。
不正手段などによる許可の取得
許可を申請するには、申請書に必要事項を記入して提出しなければいけません。難しくないと言われている古物商ですが、中には条件を満たさず申請不可の方もいらっしゃいます。
当然、虚偽の内容を記入してはいけませんが、上記のように古物商を取得出来ない方が事実とは違う内容で申請した結果、許可が通ってしまう場合も。こうした不正な手段で古物商の許可を取得するのは、明らかに違法です。かなり悪質な行為となりますから、一番重い罰則が科せられます。
営業停止命令違反
許可を取得し営業をしていたとしても、古物営業法に反した行いをすると警察から営業停止命令が下される場合があります。営業停止命令が下される原因は様々ですが、それでも命令に従わず営業を続けると、営業停止命令違反になります。
1年以下の懲役・50万円以下の罰金
次に重いのが、1年以下の懲役・50万円以下の罰金。もしくは、その両方です。
古物営業制限違反
許可を取得していたとしても、どんな条件でも古物営業が出来る訳ではありません。古物営業は、自分の営業所や相手の営業所、住所、居住している場所以外で古物の買い受けや交換、またその委託の為の受け取りや古物商以外から古物の受け取りをしてはいけない事になっています。これが、古物営業制限です。
違反してしまうと、1年以下の懲役・50万円以下の罰金・併科が科せられます。事前に営業をする日時や場所を申告しておけば仮設店舗で営業が可能です。
6月以下の懲役・30万円以下の罰金
三番目の罰則が、6ヶ月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金、またはその両方が科せられます。罰則の中でも、最も該当する例が多いのが特徴です。
古物市場における取引きの制限違反
古物市場は、許可のある人同士の間でしか売買の取引が出来ない事になっています。それ以外の人が取引を行うと制限違反となり、刑罰の対象となるため気を付けましょう。
確認等義務違反
古物の取引をする際には、相手の指名や住所といった情報を確認しなければいけません。この確認は、防犯対策という意味でも重要です。確認をしないのは勿論、法律で定められた方法で行う必要があります。
帳簿等記載等義務違反
古物商の義務として、古物台帳へ取引をした年月日やアイテムの区分等を記載しなければいけません。この義務を怠ると、懲役や罰金の対象となります。
帳簿等備付け等義務違反
古物商や古物市場主は、記載から3年間は帳簿を営業所に備え付ける必要があります。また、直ちに書面に表示出来なければいけません。
帳簿等き損等届出義務違反
上記の記録をき損したり亡失、滅失した場合には、営業所または古物市場の所在地の所轄警察署に届け出なければいけません。
品触書保存等義務違反
警察から盗難品や紛失品の特徴が記載された品触れ書きが、送付される事があります。警察が直接営業所を訪ねて、手渡されることもあります。品触れ書きを受け取ったら、日付を記入し、6ヶ月間は捨てずに保存しなければいけません。
品触れ相当品届出義務違反
警察からの品触れ書きにあった窃盗等の被害品に該当する品を発見した場合、警察に届け出をしなければいけません。報告を怠ると、懲役・罰金刑となります。
差止め物品保管義務違反
古物商が買い受け等をして所持している品物の中に、盗難品と疑われるものがあった場合、警察署長が古物を保管をするように命じる事を差止めと言います。この期間は30日以内と定められています。
古物競りあっせん業者の競りの中止命令違反
オークションサイトやフリマアプリサイト等の運営者であるあっせん業者である古物競りあっせん業者に対して、警察から競りの中止命令が出るケースがあります。指定された競りを直ちに中止しなければ、罰則の対象となります。
20万円以下の罰金
これまでは懲役または罰金、その両方という罰則でしたが、ここからは罰金刑のみです。20万円の罰金が科せられるのは、以下の通りです。
競り売り届け出義務違反
オークション形式で売買をする競り売りを、古物市場主が経営する場所以外で行う為には、日時・場所を申請しておかなければいけません。届け出なしで競り売りをした場合、古物商の許可はあっても罰金を徴収されます。
許可申請書等虚偽記載
古物商許可の申請書に虚偽の内容を記載すると、20万円以下の罰金が科されてしまいます。
10万円以下の罰金
以下は、10万円以下の罰金刑です。
許可証返納義務違反
古物営業を止める場合や何らかの違反等により、許可の取消があった場合等は、遅滞することなく許可証を返納しなければいけません。
許可証携帯等義務違反
古物商が、行商やオークション等の競り売りに参加する場合、必ずや許可証を携帯しなければいけません。許可を取得していても、所定の時に携帯していなければ罰金を科せられています。
標識掲示義務違反
古物商は、その営業所の分かりやすい場所に古物プレートを掲示しておく義務があります。プレートは所定の様式があります。
変更届出義務違反
名称や住所等が変わった場合、変更があってから14日以内に警察署へ変更を届け出なくてはいけなません。
拘留・科料
過失により品触れの届け出違反をした場合、1日以上30日未満の期間、刑事施設に拘置されてしまいます。もしくは、科料(=1000円以上1万円未満)が徴収されます。
5万円以下の過料
許可証を紛失等して、再交付し古い許可証が見つかった場合は、それを返納しなくてはいけません。それを怠ると5万円以下の過料が発生します。ただし過料は罰金と違い、刑罰ではありません。
営業停止命令
管理者選任義務違反・不正品申告義務違反・指示違反等、古物営業法に違反をすると古物商としての営業を警察から禁止される命令が出されます。古物商だけではなく、その従業員の行いも含まれる点に注意しましょう。
営業許可の取消
営業停止命令よりも厳しい処分となるのが、営業許可の取消です。行政処分がくだされると、古物営業が出来なくなります。
- 許可を取得してから、実際に古物営業を行った実態がない
- 古物商の申請者の所在が3ヶ月以上行方不明
- 古物商、および従業員が古物営業法に違反をした
- 公安委員会が下した処分に違反をした
古物商の許可を取得するなら、最低限上記の罰則については覚えておいた方が賢明です。
なお、今回は古物営業法の罰則について説明しましたが、古物営業を行う際に注意しなければならない法律は古物営業法だけではありません。そのほか関連法等による罰則を受けることもあり得ます。十分な知識を身につけていきましょう。
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